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明日まで合宿の予定だったかずぴーが もっともらしい理由と胡散臭い理由の両方で 一日繰り上げて帰宅することになった。
帰ってくるのはいいが、合宿所は神奈川のはずれの不便な所にあり 単独で、しかも夜間に帰ってくるのは難しい。 というわけで、今日の仕事が終わってから車で迎えに行くことになった。
夜の高速道路は怖い。東名高速は特に怖い。 雨が降っていたらもっと怖い。雨の量が多ければ、さらに怖い。 すべてが最大級に怖かった。
夜の闇と吹きすさぶ雨で、前がほとんど見えない。 時折、私の車を追い越すトラックの水しぶきで 水中を走っているような状態になる。 いくらハンドルを握りしめても、体を前に乗り出しても 見えないものは見えない。 安全運転で走っていた大型トラックのテールランプを頼りに 「何があっても、ずっとあなたについて行きます」と走り続けた。 そんな私の一途な思いを知ってか知らずか(知るわけない) 件のトラックは、私が降りるインターより手前の出口で降りてしまった。
心細さが頂点に達したとき 私と同乗者のあやぽんは、妙にハイになって 下らない冗談で笑いあう。 笑っている場合じゃないけど、とにかく笑った。
帰りも同様の状態だったが 女二人のテンションについてこれないかずぴーだけが 「スピード落として」とか「笑わせないで」とか言いながら 深刻な事態に陥っていた。 そう言うかずぴーの声が、合宿の間の「声出し」のせいでかすれており そのかすれた蚊の鳴くような声で、真剣に訴えかける様子が、また可笑しく 女二人は、笑いで恐怖を乗り越えたのだった。
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