- 2005年03月22日(火) 偶然を装って乗ったエレベーターで 思いもよらず君に誘われた 玄関を出ると クリーム色のコートの襟をたてて 首をうずめた君 うまい例えで笑わせようと思ったけれど 言葉は何にも出てこなかった 君は僕より先に歩かないように それでも僕をそっと先導するように ふたりはどこかの店に辿り着くのだろう 小さなスペイン料理屋さん 50代の白髪まじりのマスターと 若いが気の利く店員 店内は仄かに暗く 各テーブルに赤く灯った小さなランプ ささやかな料理とおいしいワイン そこで僕たちは僕たちの話をするだろう 今まで知らなかった僕たちの 刹那と永遠は工事中のマンホールへ 愛とエゴはこの先の赤いポストへ 孤独と幸福は店の前の自転車のかごへ 思いつくものは全部そこらに投げ入れて 僕は君の半歩先を歩き それでも君の道案内にそっとついていく ...
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