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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ラッセル・クロウ、M&C続編を語る

7月17日のアメリカ全国紙USA Todayに、ラッセル・クロウのインタビュー記事が載り、その中で彼自身がM&Cの続編を企画している、と語りました。
ニュースソースがAP電ですから、記事としては確かだと思いますが、この企画が実際に現実のものとなるか?と言えば行く手には数多くの障害がたちはだかりそうです。

まずは話題の記事
Crowe considering new 'Master & Commander' movie(USA Today 2009.07.17)
http://www.usatoday.com/life/movies/news/2009-07-17-russell-crowe_N.htm

ロンドン発(AP電)サイモン・ヘイデン記者
ラッセル・クロウは、マスター&コマンダー・シリーズの小説を原作にした新作映画で、英国艦長ジャック・オーブリーを再び演じるべく、交渉を始めたところである。

パトリック・オブライアンの原作小説は全20巻だが、その11巻目「The Reverse of the Medal」を元にした脚本はほぼ仕上がっている、とクロウはAP通信の記者に語った。しかし映画化交渉はまだ緒に就いたばかりである。
「道はまだまだ長いよ」とクロウは語ったが、彼は現在、著作権所有者と交渉中である。
クロウはクランク・インの時期については明言せず、これは彼が企画しているプロジェクトの一つである、とのみ語った。

以上がUSA Todayに載った記事の大意です。
これに対する米国のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)の反応は好意的かつ冷静。

「前作映画のラストを考えれば、11巻の映画化という選択は正しい、これもまたサプライズ号の活躍する物語であるから、」
「11巻ならソフィが活躍していくれる。今度こそソフィが見られるので楽しみ、」

と言った意見がよせられていましたが、掲示板の常連メンバーで映画業界人のマックスさんのコメントは、
「talks are just talks」(あくまでも交渉中で、それ以上でも以下でもない)
と冷静なもの。
交渉流れした作品を数多く見てきた業界人らしい意見です。
彼によれば、前作映画「Master and Commander ; The Far Side of the World」における俳優の契約は2作目への出演をも含むものだったそうですが、これは4年前の契約なので、現在も有効かどうかについてはわからない、とのこと。

24日にネットに紹介されていたハリウッドの別の批評記事によると、
http://weblogs.variety.com/thompsononhollywood/2009/07/master-and-commander-redux.html

前作は制作費1億5,000万ドル、興行収入2億950万ドル。赤字ではないが飛び抜けた数字ではない。アカデミー賞10部門ノミネート、2部門受賞という成果を加えれば、FOXとしては成功と言えるが、当初予想よりは低い興行結果に終わった。

ラッセル・クロウが続編に意欲的なのは理解できるが、現在、アメリカは経済危機にあり、この状況での大がかりな海洋アドベンチャー作品の製作は困難であると言わざるをえない。
FOX社は「プロジェクトはまだ非常に初期の段階にあり、現時点ではコメントできない」としている。

まぁ今ハリウッドは本当に大変な状況にあるようで、クランクインが決まっていたナルニア国の朝びらき丸も延期になっているなど、基本的には、製作費用が莫大にはならず、確実に興行収入が期待できるプロジェクトしか進行しない状況にあるようですので。
私たちも過剰な期待はしないで、なりゆきを見守るよりほかなさそうです。


2009年07月26日(日)