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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
4代目ビクトリー、英国海峡で発見

英国海軍にH.M.S.Victoryの名を冠する艦は6隻あります。
初代はエリザベス女王の時代に建造された42門艦、現在ポーツマスの乾ドックにあるネルソン提督の旗艦ビクトリーは6代目。
1737年に建造された4代目H.M.S.Victoryは砲100門を有する一等級艦でしたが、1744年に英国海峡にて座礁沈没したと伝えられてきました。

昨年、アメリカの海底探査会社が英国海峡の海底で沈船を発見、大砲の一部を引き揚げ調査したところ、このたび4代目ビクトリー号のものと確認されたとのことです。
米国のパトリック・オブライアン・フォーラム(掲示板)で先週、このニュースが話題にのぼっていました。

詳細記事(英文)はこちら
BBC News Mighty' HMS Victory wreck found
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/guernsey/7866103.stm


この沈船が4代目ビクトリーと確認されたことで、当時この艦を指揮していた提督Admiral, Sir John Balchinの名誉も250年ぶりに回復されました。
当初この艦はAlderneyの北西に位置するCasquets群礁に座礁し沈没したと考えられていて、Balchin提督の針路選定の誤りが指摘されていました。
しかし今回発見されたビクトリーの沈没位置は、Casquets群礁から100km離れており、このことから針路選定に関しBalchin提督に落ち度がないことが証明されたとのこと。
Balchin提督の子孫に当たる Sir Robert Balchin は、これについて「家族の一員として私は常にSir Johnを誇りに思って来たが、彼が優れた提督であることがやっと証明された」と語っています。
(Sir Robert Balchinはブルネル大学総長を務めた教育者で、長年の教育界での功績を認められ2006年にナイト爵位を得たとのこと。ご先祖とは別の道を歩まれているようですが)

…このあたりが何か、つくづく、英国の海の伝統がかいま見られるエピソードで、
あの国ならでは、と感心するところです。


2009年02月08日(日)