HOME ≪ 前日へ 航海日誌一覧 最新の日誌 翌日へ ≫

Ship


Sail ho!
Tohko HAYAMA
ご連絡は下記へ
郵便船

  



Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
「ギャラクティカ」レンタル開始

「バトルスター・ギャラクティカ」のDVDが5月23日に発売、レンタルも開始されました。
実は25日の月曜日に石丸電気ソフト館の海外ドラマ・コーナーに行ったら、ぺろっと手書きの白い紙が「ギャラクティカ完売しました。次回入荷予定未定」と書かれて貼られていてちょっと愕然…うわ、そんなに人気あるの?

このアメリカのSFテレビドラマ、「ホーンブロワー」でアーチー・ケネディを演じたジェイミー・バンバーが出演していることから、以前にもご紹介したことがあると思いますが、今年の冬〜春にかけてスーパードラマTVで放映されていました。
今回はこの放映分(シーズン1)のDVDがセル・レンタルに出たのです。

私は放映時に友人に録画してもらった分を、先日から少しずつ見ているのですが、
スペシャル版(WOWOWで放映)から、45分の連続TVドラマになってもクォリティが全く落ちない…どころか、逆にストーリーの連続性を利用して話を深めていっています。
1回に1話ずつ、現在5話まで見終わったところですが、この45分の密度が異様に高くて、正直言って連続ではとても見られません。
こちらの神経というかテンションが持たないんですよね。

それは第一話のように息も抜かせぬサスペンス・アクションだったり、4話〜5話のように重い人間ドラマだったり様々ですが、見始めると引きずりこまれてしまいます。
この緊張感、見終わった後の精神的疲労感と引き替えの充実感は、映画「Uボート」に共通するものでしょう。
まぁ宇宙船という閉鎖空間の中、外は真空の闇で、無数の敵に追われながら逃げている…という状況は、ある意味同じですから、
「ギャラクティカ」、海洋小説ファンにはおすすめだと思います。

老朽化のため退役することとなった宇宙空母ギャラクティカの、退役式典のその日、人間が作り出した筈の機械生物サイロンが叛乱を起こし、ネットワークに接続された全ての航宙艦はシステムを乗っ取られ破壊された。
旧型ゆえにネットワークに接続していなかったギャラクティカのみが難を逃れ、生き残った民間船を護衛しながら、サイロンの追っ手をかわして宇宙空間を逃げる…というのが基本ストーリー。

ジェイミー・バンバーが演じるリー・アダマは、艦載機の飛行隊長だが、弟の死をめぐり、父でギャラクティカの艦長であるウィリアム・アダマとの間にわだかまりを抱えていた。
本来リーは、ギャラクティカの所属ではなかったのだが、生き残った空母がギャラクティカのみという事態に、不本意ながら父の指揮下に入ることに。
ギャラクティカでリーは、弟ザックの婚約者で飛行教官だったパイロットのカーラと再会する。
この複雑な人間関係がドラマに魅力的な陰影を与えています。

M&Cの面白さに一つに、オーブリーとマチュリンの公私の使い分けのドラマというのがありますが、艦長と軍医という厳格な軍の上下関係の中にありながら、プライベートでは親友というこの関係の複雑さが、M&C人間ドラマの魅力の一つ。
同じことがギャラクティカにも言えます。
ギャラクティカ艦長ウィリアム・アダマとリーは、親子でありながら艦長と飛行隊長の位置関係にあり、弟ザックの死をめぐって対立、
一方リーとカーラは隊長と部下のパイロットでありながら、ザックの思い出と傷を共有する親友同士でもある。

敬語のほとんど無い英語の、ミリタリードラマにおけるポイントは、相手への呼びかけで、この名前が公私を分けている。
M&Cにおいては、キャプテン、ドクターと言った役職名と、ジャック、スティーブンというファースト・ネームの使い分けがこれに当たりますが、
ギャラクティカでも、役職名、コールサインがファーストネームに変わるタイミングが絶妙で、また人類の存亡がかかった絶望的な状況で、次々と犠牲者が出ていく中でふと生まれるプライベートな思いやりのシーンだったりするので、毎回ぐっと胸が詰まってしまうのでした。

今日の午後にレンタルショップをのぞいて来たら棚に並んでましたので、皆様も是非、
でも見ると消耗するから1回に1巻ずつね。
ただし3巻と4巻は、4話と5話が連続している関係で一緒に借りられることをお奨めします。でないと先が心配でじたばたするかもしれません(この2話だけは私も連続で見てしまいました)。


2008年06月01日(日)