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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
勢古宗昭海洋画展 2006

毎年恒例となった海洋画家 勢古宗昭氏の個展、今年も昨日から東京・渋谷の東急本店8F美術画廊にて開催されています。
来週水曜19日までです。

勢古宗昭 海洋画展
7月13日(木)〜19日(水)11:00〜19:00(最終日19日は17:00)
東急本店 8F美術画廊 東京都渋谷区道玄坂2−24−1
(東急本店のHP http://www.tokyu-dept.co.jp/honten/index.html)

本日、閉店15分前にすべりこんできました。
あまり広くはない画廊なので、見るだけなら10分あれば十分ですが、あの世界から目を離せなくなりますから、15分で閉店というのは悲しかった。

トラファルガー100年からの流れなのか、去年に引き続き、英国の帆走軍艦を描いた作品が数点展示されています。
表のギャラリーに面した代表作3点の真中「雄魂」という作品が目を引きます。

明るい青の海と空、フルセイルに一杯の風を受けて帆走する英国艦隊、
ポーツマスまでジェフ・ハントの絵を見に行かずとも、日本国内でこんなに素晴らしい絵を目のあたりにすることが出来るなんて!

東京近郊在住の方>ぜひぜひ渋谷まで足をおのばしください。
昨日今日と東京は無茶苦茶暑く、熱中症でばたばた人が倒れているそうですが、例えこの暑さに半死半生になっても、この絵は一見の価値あり、その労苦に十分むくいてくれます。
この連休、冷房のきいた部屋に閉じこもって、この絵を生で拝まずに終わるなんて、そんな勿体ないことなさらないでくださいね。

この外気に触れたら溶けてしまうと仰る貴方>
東急本店へは渋谷駅構内からシャトルバスが出ていますから、外気にほとんどあたらずとも往復できますよ。
いやもう、ぜひぜひ。いらしてくださいませ。

絵の前に立って見ているだけでうっとり。
この海はやっぱり地中海なのかしら。青が違う。
お隣の日本丸を描いた絵は、明らかに見慣れた太平洋の青なのだけど、

個人的にお気に入りなのは、画廊内部の奥手にかけられた、アガメムノン号を描いた作品です。
海がより深い青…藍で、引き締まった感がある。
何より、アガメムノン号は、ジャック・オーブリーが海尉時代に乗っていた(設定になっている)艦ですし。

そして歴史海洋絵画といえば、なにより特筆すべきなのは、今回
「函館湾に停泊する開陽と回天」
という絵が展示されていることです。
これって、榎本武揚が函館に回航した、旧幕府海軍の艦ですよ。
今年のお正月に放映された新撰組続編の「五稜郭」にも登場しました。
たしか回天って土方歳三の「アボルダージュ!」で有名な宮古湾海戦に参加してませんでしたっけ?
ちょっとばかり…感涙。じーんとしてしまいました。

それは…アガメムノン号だって、今はもうありませんから、もはや見ることの出来ない光景を絵画の中に再現していることには変わりないのですが、
開陽も回天も五稜郭軍とともに沈んでしまいましたから、その分余計に、今や絶対に見ることのできない夢の光景を見ているような気分にさせられます。


2006年07月14日(金)