Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
2005年は区切りの年
今日はちょっと真面目で堅い話です。
日曜朝、我が家では「関口宏のサンデーモーニング」という報道解説番組が定番です。 今年初めての放送は、「歴史の区切りとなる年2005年」というような内容の特集でした。 今年は戦後60年という区切りの年、記憶を風化させないためにも、あの時代を知る人たちにインタビューし、この60年の歳月を語る…という内容だったのですが、スタジオの解説者たちの論説はこの60年に留まらず、明治維新までの150年を語るものになりました。
解説者の一人の発言がなかなか興味深いものでした。 「日本の転換点は実は100年前だった。1905年の日露戦争の勝利を国民に喧伝したことで、日本と国民は勢力拡大の魅力を知ってしまった。それまでは植民地化の恐怖が近代化の原動力だったのに、1905年を境に日本は変わったのだ…うんぬん」
そのときに思ったのは、今年は日本海海戦100年だけれども、日本ではきっと英国の「Sea Britain 2005」のようにこれを記念することは無いのだろうなぁということ。 逆に言えば、イギリスはこれを素直に祝える国なんだなぁというか。 それがいいのか悪いのかはわからないけれども。
英国というのは戦勝記念碑の多い国で、観光名所の教会に行っても意外なところにまで戦勝記念プレートが飾られている。 何年か前に英国とドイツを続けて旅行したことがありますが、ドイツの教会には対照的に、そういうものが一切なく、逆に空襲で溶けた鐘などが大切に安置されていて、日本人としてはやはりこちらのほうが落ち着く…と思ってしまったことがあったのですが。
ただ英国の海洋小説や第二次大戦関連の冒険小説を読んでいる限りにおいては、そのような居心地の悪さは感じません。 基本的には、フォレスターにせよ、オブライアン、ケント、ポープにせよ、あの戦争の時代を実際に経験した人たちが書いているということが多いのでしょう。 英国は連合軍として第二次大戦に勝利をおさめたけれども、それは決してハッピーエンドではなく、その為に支払った代償があまりにも大きすぎた。それを実際に経験した世代は、英国人が主人公として活躍する海洋小説を書いても、決してそのことを忘れない。 そのあたりが理由なのではと思います。
2005年01月02日(日)
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