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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
国立民族学博物館のお宝

翌日は千里の国立民族学博物館へ。
ここは長年いちどは見学したいと思っていた博物館でした。

世界のいろいろな所で、独特の暮らしをしている人たち…を見るのが、私は好きなんですね。
テレビの紀行番組が大好きで「世界ふしぎ発見」は毎週欠かさず見てます!…とか。
そうなったらもう、ここに来るしかないでしょう!

この博物館では、もう数え切れないくらいいろいろな収穫があって(タイに行ったときに疑問に思っていた、タイの仏様と日本の仏様の違いの謎がとけた…とか)嬉しかったのですが、
その中から、海洋関係がお好きな方へのおすすめを少々。

南太平洋諸島の展示室には世にも珍しい「海図」があります。
竹を組み合わせ、ところどころに貝を配しただけの、一見、格子飾りのような竹細工なのですが、この竹の一本一本が海流を、貝が島を表しているというのです。
ポリネシアの島々に住む人々が、島と島の間を航海する時に用いたというもの。

海図というのは浅瀬の位置を記したもので、航海というのは天の星や太陽を観測して自分の位置を割り出し移動するもの…という西洋的航海術の概念に取り憑かれていた私には、「この海図で航海できる。ちゃんと目的地に着ける」というのが、カルチャーショックでございました。
これって、行き先を説明するのに、地図を広げて説明するのと、「ずーっと歩いて行ってね、赤い屋根の家を右に曲がってちょっと行くとパン屋があるから、その向かいの路地を入ってしばらく行くと」と説明するのの違いというか、
でもこの海図でちゃんと問題なく航海できるらしいんですよ。

羅針盤がなくても星の位置から正しい方位を知る技術もあって、実際にこの方法でミクロネシアやポリネシアでは長距離の実験航海に成功したとか、驚嘆すべき航海術の数々が、この博物館には紹介されています。

12月時点ではポリネシアの企画展も開催されていました。
そしてここに英国海洋小説ファンのお宝が。

ポリネシアを世界に紹介した人物といえば、ご存じエンデバー号のキャプテン・クック。
民族学博物館のポリネシア展には、今、キャプテン・クックの第二回航海記の初版本(1778年)が展示されています。
ボンデンが読んでいたマチュリン先生の本と同じような、あの時代の装丁で、
表紙に「published by order of the Lord Commisioner of the Admiralty」とあり、この本が海軍省の命令で出版されたことがわかります。
日本でこのホンモノが拝める(?)とは思いませんでしたので、ありがたく拝見して参りました。

この博物館の公開講座は面白そうなテーマばかりで、お近くにお住まいの方が羨ましくなります。
また気軽に上方へも遊びに行きたいと思っています。


2004年12月19日(日)