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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
大河ドラマの終わりに

大河ドラマ「新選組!」が最終回を迎えました。
今年は本当に大河「ドラマ」を見たなぁという充実感を味わいました。
大河ドラマに「大河」ドラマは多いけれども、大河「ドラマ」はなかなか無いなぁと。
一年かけて原作なしで一人の卓越した脚本家がまとめたからこそ出来た「ドラマ」だったのではないかと思います。特に最後の、鳥羽伏見から後の新選組が実質上消失してからのドラマが、それまでの伏線をすべて収束していくような形で、見せてくれました。

一年見続けてきた人間関係が収束していくのを見るのはやはりジンと来ますね。大河の人間ドラマで、ここまで胸がツンとなったのは久しぶりです。
この前同じ経験をしたのは…、と思い出して、それが今回のドラマでは最後に勝者であった薩摩の西郷と大久保のドラマであった(「翔ぶが如く」1990年)ことに気付いて、なんだか考えてしまいました。
盟友として幕末を乗り切り(幕府の目から見れば上手く立ち回り)勝者となって新政府の中心人物となった西郷と大久保も、最後は道を分かち、別々の形で非業の死をとげます。
西郷との決裂を決意した大久保が西郷の弟の従道相手に自分の心情を吐露する長芝居が、最近見た中ではいちばん忘れられない、大河ドラマの中の「ドラマ」だったのですが、今回はそれを上回る印象的なシーンが数多くあったような気がします。

今回の「新選組!」、歴史的事実は一部うっちゃてくださったけれども、歴史上の人物よりもキャラクターが勝っていて、キャラクターが歴史をけ飛ばしてくれたからこそ出来たドラマだったのではないでしょうか。
通常の大河ドラマには元にある歴史があり、原作があり、さらにその上で一年間のドラマを作っていくという枷があるため、どうしても歴史や原作に引っ張られてしまう。
昨年の鎌田敏夫脚本の「宮本武蔵」は原作をリメイクする形で、新しく脚本家のキャラクターを出しており、やはり面白く一年間見ていたのですが、今年はさらに一歩進んだ形になっていたように思います。
大河ドラマがやはりドラマであるとすれば、このような形のドラマでも良いのではないかと。

それにしても、最後のセリフ、あれで来ましたか(苦笑)。
このHPをお読みになっていらっしゃる方の何人かは、「おや、これと同じ最後をどこかで?」と思われませんでした?
あの海洋小説、私の場合は、付き合いが一年では済みませんでしたので、最初に読んだ時にはおおっと思ったものですが。

あれとかそれとかこれとか、見ていらっしゃらない方、読んでいらっしゃらない方には何が何やらわからない話で申し訳ありません。でもこればっかりはねたばれするわけには参りませんので、上の段落だけは訳のわからない文章を書くことをお許しくださいね。

さて、大河ドラマでは毎回番組の終わりに史跡の紹介があります。
新選組の史跡紹介を見ながら、東京近郊の史跡はほとんど高校時代に尋ねてたことに驚きました。
来年はトラファルガー200年でイギリスの史跡まわり!…とかいう話が出ていますが、私ときたら高校生の昔からこんなことやってたんだなぁと思うと、今だに同じことを続けている自分にため息。

でも、その経験から言えば、最終回の史跡案内、せっかく函館・五稜郭に話を振ってくれたのだから、最後は碧血碑で締めてほしかったですね。
私にとっては、大学生になってバイトでお金ためてやっと行くことのできた幕府軍最後の地でしたし、北の果てにこの碑が建っているというのはやはり感無量でした。

碧血碑とは函館で戦死した幕府軍の人々に捧げられたもの。
碧血とは、「義に殉じて流した武人の血は3年たつと碧色になる」(荘子)に由来します。
明治8年に建立された慰霊碑です。

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来週末は用事で旅行しますので、更新は出来ないかもしれません。
あしからずご了承ください。


2004年12月13日(月)