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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
米Amazon.com 2004年 DVDベスト10

米国ネット通販最大手Amazon.comが選ぶ今年のDVDベスト100が発表されました。
評論家100人が選んだ、今年のRegion1(アメリカ、カナダ)DVD100選。この4位に「M&C」が入っています。この10位までの作品をご紹介します。

1位:ロード・オブ・ザ・リング「王の帰還」SEE版(12月14日全米発売予定)
 50分の追加映像を加えた…とりあえずの完全版(これでもまだ未収力映像があるらしい)。
 来月発売ですが、評論家には既に公開されているようです。

2位:ロスト・イン・トランスレーション(ワイドスクリーン版)
 アカデミー賞作品賞ノミネート(オリジナル脚本賞受賞)のインディー作品。
 東京を舞台に異邦人の孤独と交流を描いた。日本公開は今年の初夏でした。

3位:華氏911
 新聞雑誌を賑わせた今年一番の問題作でしょうか?
 ブッシュ大統領主演のドキュメンタリー。日本公開は今年の夏〜秋。

4位:マスター・アンド・コマンダー(コレクターズ・エディション)
 コレクターズ版とは日本で発売されたのと同じ、メイキングなどを含む2枚組。
 考証が忠実で、丹念な作りでクラシックな名作と評価されています。

5位:スターウォーズ・トリロジー(ワイドスクリーン版)
 エピソード4〜6を収録したボックスセット。日本でも秋に発売。

6位:フォッグ・オブ・ウォー ロバート・マクナマラの生涯
 日本公開タイトルは「マクナマラ元米国防長官の告白」。ヴァージンシネマ系の限定公開。
 アカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞作品。
 日本語タイトルに告白が入っているのは、原爆投下に関する発言が注目されたためでしょう。

7位:Seinfeld(リミテッド・エディション)
 1990年〜98年放映の人気ドラマのDVDボックス。
 「となりのサインフェルド」というタイトルで、WOWOWで放映されている(いた?)ようです。

8位:Curb Your Enthusiasm(シーズン1&2完全版)
 エミー賞を受賞したコメディ・ドラマのDVDボックス。

9位:スーパーサイズ・ミー
 サンダンス国際映画賞受賞。米国の肥満問題を扱ったドキュメンタリー。
 これから日本公開、本日(28日)の朝日新聞に紹介が載っています。

10位:シンプソンズ(第四シリーズ完全版)
 あのアニメのシンプソンズの第4シリーズ完全版です。

ストーリー映画4本、ドキュメンタリー映画3本、ドラマ3本という内訳。
ドキュメンタリー映画3本がいずれも辛口で、さすがだと思います。
この中で4位に食い込んでいるのだから、M&Cは大したものですね。今さらながらに、この映画の評価の高さを思い知ります。

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ここ1ヶ月、旅行やら職場の行事やらで毎週水曜(レディースデー)が空かず、ちょっと映画にはご無沙汰してしまいました。
ジェームズ・ダーシーの「エクソシスト・ビギニング」は結局パス。
う〜ん、まぁホラー苦手というのもあるんですけどね。
どうしてわざわざお金を払ってコワイ思いがしたいの?…と思ってしまう私は、ホラーの魅力が全然わかっていない唐変木でございます。

ダーシーは現在撮影中の作品もまたゴシック・ホラーで、共演はドナルド・サザランドとシシー・スペイセクとか。
こまっちゃいますね、ホラーつづきなんて。


秋映画で見たかったのはいずれも中国(香港)作品だったのですが、最終的に見ることができたのは「2046」だけに終わってしまいました。
「2046」は独特の雰囲気のある素敵な映画でした。でもあの雰囲気に酔えないと辛いかしら?
すれ違う切ない恋を散りばめて、そこにストーリー性や一貫性を求めるとわからなくなるかもしれないけれども、悲しいラブソングの歌詞を味わうようなつもりで、映像と主人公たちを見守っていくと、
例えばある歌詞の1フレーズに共感して胸が痛くなるような感じで、思わずホロリと泣ける…そんな映画のように思います。
ある意味、見る側の、観客の人生経験を問う映画なのかもしれない。たぶん見る人によってその人のそれまでの経験によって、共感するところが異なるような気がします。


そう言えば今週は木曜日(12月2日)に「ブラックホーク・ダウン」の地上波放映があるのですね。
今この時期に?と思いながら、でもそれがもう4年も続いていることに気付いて。

この映画はソマリアの国連軍が市街戦に巻き込まれていくさまを描いた作品です。主人公となるのはその中のアメリカ軍。
この映画の日本公開は2001年の秋でした。
同時多発テロ直後の、米軍のアフガニスタン攻撃がカウントダウンに入っていた時でした。
そのため、インドネシアなどイスラム諸国ではこの映画の上映ボイコットが起こったり、映画館が襲撃されたりていました。

この映画、ヨアンが出るという話は聞いていたし、実は久しぶりのサム・シェパードと、ジェイソン・アイザックスが見たくて、チェックはしていたのですが、一部の国では激しくバッシングされているという新聞報道を読んで、考えこんでしまいました。
それで、まずハヤカワ文庫NFから出ていた原作を読んでみたのです。
原作はアメリカ、ソマリア双方の関係者を取材し、何故、国連軍が市民に多数の死傷者を出す市街戦を繰り広げるに至ったか、その事実をときあかそうとしたノンフィクションです。
ただ映画の方は、アメリカ軍視点になっていて、ソマリア側の描写が足りないと、評論家から指摘されていました。
見に行くのをためらっているうちに、現実世界ではアフガニスタン攻撃が始まってしまいました。
毎日TVで見せられている映像を、映画館でも見たいという気がおこらず、結局映画は見に行きませんでした。

DVDが発売になったのは1年後の2002年でした。ところがこの時期今度はイラク攻撃のカウントダウンが始まっていました。
ようやくこのDVDを見る気になったのは、バグダッッドが陥落してある程度落ち着いた2003年の夏頃だったと思います。

この映画、戦争の残酷な面も、否応なく巻き添えになる市民の実際も、正確に描いてはいると思いますが、原作では重要な割合を占めていたソマリア側の視点が欠落しているのは、あのノンフィクション(原作)の映画化という意味ではフェアではないような気がする。
米軍側の俳優さんたちにイイ男を使いすぎているだけに余計に、これは不公平だと思うのかもしれません。

そしてこの12月に地上波放送。
今見るときっと、時期が時期だけに「今、ファルージャではどうなっているのか」ということを、どうしても考えてしまうでしょう。
なんだかやっぱり、気軽に見る気にはなれないような気がして。

映画をご覧になる方は、公平を帰すために、ハヤカワNF文庫の原作ノンフィクションを併せてお読みください、とお願いしたいと思います。

最初の公開から4年たっているのに、世界はまだこんな状況なのかと思うと。
こんなことを考えなくても良いような世の中が早く来るように祈ってしまうのでした。

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もう一つ更新ネタ(Sea Britain2005関連ニュース)があるのですが、本日は外出していたため、十分な時間がとれません。
今週中のいつかにupできるように務めますので、いましばらくお待ちください。


2004年11月28日(日)