Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ホビットの襲撃
「ホビットの襲撃」という本日のタイトルは2つ目と3つ目の記事に由来しますが、まずはピーター・ウィアー監督の記事からご紹介。
20 years later, Peter Weir remembers Kuh, Bembol 記事のタイトルになっているBembol、Kuhというのは、20年前にウィアー監督の「危険な年」に出演した俳優さんと女優さんの名前です。 この記事は広くウィアー監督のフィルモグラフィーを紹介していますが、ここでは「M&C」に関係する部分のみご紹介します。
ピーター・ウィアーは、俳優からの発露を重んじる監督であり、リハーサルを行わないことで有名、もしくは悪名高い。「素晴らしいキャスティングの結果、優秀な俳優が揃えば、多くを説明する必要はない。俳優が事前によく準備をし、監督も万全の態勢でのぞめば、それは生まれるものなんだ。だから私はリハーサルを好まない」 軍医マチュリンを演じたポール・ベタニーも、メキシコの撮影現場に入るまでに事前準備をすませてきた。「ポールは手術シーンを撮影する前に、ロンドンで外科医の指導を受けてきた。だからリハーサルの必要はなかった。目の前に負傷者が横たわっていて、彼は手術をしなければならない、さあこれがナイフだ」という具合だ。 ウィアー監督の鋭い洞察力は、ラッセル・クロウを「予測不能」の俳優と評する。彼がどのように反応するか、どのように応えるか、決して知ることはできない。「それは、役者としては、素晴らしい才能だと言える。映画にとっても素晴らしいことだ。予測可能な映画など、ある意味、死んだ映画も同然だからだ」 この映画の続編の制作が決まった場合、再び監督するかとの問いに対して、ウィアー監督は「続編にはあまり興味を覚えないのではないか」と答えている。「ゴッド・ファーザーと、ロード・オブ・ザ・リングを例外とすれば、たいてい第二作、第三作は第一作ほど面白くはないものだ」
…in working-class society you couldn't say you wanted tobe an actor 英国スコットランドの地方紙The Scotsmanから、12月に2本の出演映画が公開されるビリー・ボイドについての記事です。
ビリー・ボイドにとって「マスター・アンド・コマンダー」の魅力は、監督がピーター・ウィアーであったことだ。「僕はずっとウィアー監督の映画のファンだった。だから監督の作品への出演を断ることなんて考えられなかった」 ボイドはラッセル・クロウ演じるオーブリー艦長付きの艇長バレット・ボンデンを演じている。彼の言を借りれば、この映画製作はまるで「少年時代の冒険物語」のような経験だった。 だが、「M&C」での彼の役割は、ロード・オブ・ザ・リングの最後を飾る第三作「王の帰還」でのピピンの役割に比べれば、小さなものだ。 「第三作はピピンにとって最高の映画だよ。彼は偶然から英雄になってしまう。またガンダルフと行動を共にするんだが、この二人の関係はなかなか面白い。なんといっても「旅の仲間」の最年長と最年少だからね」 そんなボイドにとって、「王の帰還」の最終撮影は感慨深いものだった。「誰かが言ったんだ。『そのホビットの足を履くのも今日が最後だな』って、そしたら胸がぐっと詰まった」 ボイドは、そのホビットの足を記念にもらったが、それを履くのはリタイア後の楽しみにしようと考えている。もっともリタイアというのは、今彼の頭に中にある最も遠い概念だろう。 ボイドはハリウッドの超大作より、創造から得られる充実感の方により興味があるようだ。 地に足のついた彼の生き方は、その生い立ちに理由を求められるかもしれない。 グラスゴーの低所得者用住宅で育ち、15才になる前に両親を亡くして祖母に育てられた彼は、役者になりたいと思っていたものの、いったんは生計のために製本職人として働くことになった。 グラスゴーの市民劇場(Glasgow's Citizen's Theatre)でハムレットを演じるのが彼の野望だが、その夢は来年叶いそうな気配である。
12月20日を過ぎて、映画専門誌が出そろいましたが、まだ「M&C」には早いようです。その中で、これもまだ日本公開には早いのですが、PREMIERE誌日本版がロード・オブ・ザ・リングのホビット4人組(イライジャ・ウッド、ショーン・アスティン、ドミニク・モナハン、そしてボンデン役でもあるビリー。ボイド)を表紙にして彼ら四人のインタビューとエピソードを掲載しているのですが、この中にとんでもない話が出てきます。 ビリーがメキシコで「マスター・アンド・コマンダー」を撮影していた間、ロサンゼルス在住の他の3人のホビットたちもとい俳優たちは、ときどきビリーを尋ねて遊びに来ていました。ビリーは彼らが遊びに来ると、週末のラッセル艦長のラグビーチームを欠席させてもらって、ホビットたちとサーフィンに行っていたようです(この話はすぐ上のThe Scotmanの記事にもチラッと出てきます)。 ホビットたちのいたずら好きは有名で、「ロード…」の撮影中にもヴィゴ・モーテンセン(アラゴルン)やオーランド・ブルーム(レゴラス)はいろいろな目にあったようですが、このホビットたち、なんと「マスター・アンド・コマンダー」の撮影現場にやってきて、持参したバイアグラをビュッフェのドリンクに混入しようとしたのですが…、それはビリーが必死に説得してやめさせたそうです。(PREMIERE日本版2月号P.49より)
…これ、実現したらいったいどういうことになっていたんでしょう? いったいどれくらいの時間で我らがマチュリン先生は、水兵たちに現れた症状を分析して原因を突き止められたのでしょう? 先任衛兵伍長は犯人たるホビットを捕まえることが出来たのでしょうか? こういう場合って艦長の裁断はやっぱり鞭打ち刑なんでしょうか? でも格子板にくくりつけられたピピンとメリーを救うべく、ボロミア…じゃないリチャード・シャープとライフル銃兵が斬り込んできたらこわいなぁ…限りなく脱線しそうなので、本日はここら辺にて。
…しかし本来ホビットは平和な種族の筈では…。
2003年12月21日(日)
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