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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
「M&C」公式ホームページ稼働!

「Master and Commander, The Far Side of the World」のオフィシャル・ホームページがやっと半稼働し始めました。
半稼働…というのは、「北米英語」のページしか稼働していないから。そのうえ、そのページの中にもまだあちらこちらに工事中が。

こちらがホームページの入り口ですが、
http://www.masterandcommanderthefarsideoftheworld.com/#
実際に稼働しているのは、こちら
http://www.masterandcommanderthefarsideoftheworld.com/intro.html
最初のアドレスで右上の「ENGLISH:North America」をクリックしていただいても、下のページにたどりつけます。

それにしても「北米英語」と「それ以外の英語」を分けるというのは、どういうことなのでしょうか? 「ハリー・ポッター」は子供向けの読み物だったため、セーターとジャンパーなど、子供に馴染んだ日常英語を使い分け、英国版と米国版を作ったと聞きましたが、でもこれは19世紀の歴史もので、この場合、北米とそれ以外って何がちがうのでしょう? 確かにホーンブロワーは、英国版と米国版では一部異なるところもあるのですが(ちなみに日本語版は米国版から訳されています)、オブライアンに関しては英国版と米国版が異なるという話を、今のところ耳にしていません。どなたかこの差違に気づかれた方がありましたら、お知らせください。

さてこのホームページ、最初のフラッシュ映像の終了と同時に、南アメリカ大陸の地図が画面に浮かび上がってきます。そして、大陸をまわるように記されているのが、サープライズ号の航路図。航路上にはところどころに○印があり、ここをクリックすると、さまざまな情報が浮かび上がって来るしかけです。

一つ目は艦長航海日誌。
と言っても「風向、風速、総員日課通り」というお決まりの公式文書ではなく、ジャックの私的日記の形をとっています。…というよりは、最初のページにも明らかですが、これは妻ソフィーへの手紙でしょう。彼がよく書いている、艦の日常を伝えるあの手紙です。

その合間に、解説のページが入ります。これがなかなか本格的です。順を追っていくと以下の通り。
出航32日目(ブラジル沖)日記のはじまり→以下間に日記をはさみながら、
「艦長について」→「艦の紹介」→「リオ・デジャネイロ寄港」→「士官について」→「艦上生活について」→「乗組員について(水兵の階級、准士官について)」→「ホーン岬」→「戦闘準備」→「火薬庫について」→「砲列甲板について」→「砲撃について」→「軍医について」→「敵国フランスについて」→「白兵戦について」→「ガラパゴス」

★この解説ページを読むにあたっての「ねたバレ対策」
・ストーリー展開を知りたくないという方は解説だけを読み、艦長日記を読まないことをお勧めします。
・日記を読むと、どのような順番でことが起こるかだけはわかってしまいます。
・エピソードや事件の結果、個々の登場人物の反応については日記を読んでもわかりません。
・ただし敢えて1エピソードだけはネタバレされています。
(…これを敢えてバラした意図は、きっと私のような「おバカ」を釣るためでしょう。これを読んだ瞬間に、私は思わずPC画面にすがってしまいました。やれやれ)

さて、航路図とともに一航海を終えた後には、地図の下の「About the Film」という部分をクリックして、ホームページ本編に入ります。
本編は6つのカテゴリーに分かれています。
・Story(工事中)
・Trailer(予告編)
・Cast(主要登場人物とキャスト)
・Filmmakers(主要スタッフ)
・Behind the Scene(製作裏話)
・Photo & Download(壁紙、スクリーンセーバー、写真など)

★このページを読むにあたっての「ねたバレ対策」
まだ工事中のところが多い上に、裏話などは読み切れていませんので、現在のところで気づいたことのみ書いておきます。
このほかにもまだネタバレはあるかもしれませんので、ご注意ください。

日本語3巻までの読者の方で、主人公の2人(ジャック&スティーブン)以外の登場人物のその後の運命を知りたくない方は、Castのところは避けて通った方が無難です。これは、この映画の中での登場人物の運命が書かれているという意味ではなく、一度本編上からは姿を消した脇役の再登場に関するネタバレです。

海軍は大きな一家のようなものなので、かつての同僚や上司や部下との再会は、海洋小説にはつきもののドラマなのですが、シリーズ10巻目の「The Far Side of the World」にもこれはあてはまります。
いやはやその、「彼」は8巻にも出てくるので、再登場することは私も知っていたのですが、キャストと写真を見たら、もうじつに「らしくって」…ここでも私はPCの画面にすがって泣きました…というか笑いました…というか。ふふふ。おたのしみに。

ちょうど良いのでもう一つ。この再会ドラマについて
★これからアレクサンダー・ケントの「ボライソー・シリーズ(ハヤカワ文庫)」を読まれる方への注意
再会ドラマが最も上手いのはケント氏です。このドラマを味わいたい方は、「絶対に表紙ウラの“登場人物一覧”を見ないこと」
ここでネタバレしてしまって、再会の醍醐味が半減した…という声をよく聞きますので。

それにしてもこのオフィシャル・ホームページは本当によく出来ています。
もう丸ごと全部ほしい!…という感じ。
プログラムごとDVDのおまけに入れていただきたい。

特に、地図と解説のページでは、当時の艦上生活の様子をリアルに伝えよう…というスタッフの意気込みが伝わってきます。
海洋小説ファンには本当に嬉しい映画になりそうです。
…でも地味、すごく地味。
私は嬉しいんだけれども、これで本当に一般受けするのかしら???
やはりこうなったらもう、アカデミックにアカデミー賞を狙って、オスカーの一人や二人に箔をつけてもらって一般にアピールするしかないのか?

…キャストのページを見ていてつくづく思ったのですが、このキャストって相当のくせ者揃いですよね。
このメンバーで一種の密室ドラマを演じてもらえるなんて、想像しただけでもクラクラしてしまいます。
あぁ今からこんなに盛り上がってしまってどうするのでしょう?
とりあえずスクリーンセーバーはしばらくは絶対にダウンロードしないことに決めました。
きっと見とれてしまってPCを動かそうという気にならないに決まっていますので。


2003年10月06日(月)