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77歳のわたしの父は、ここ数ヶ月パーキンソン病で大学病院に入院している。 最近病状が安定してきたので、なるべく早く退院して 家に帰るか別の病院に移るように主治医の先生から言われているけれど、 色々な事情で今すぐには家で介護ができないため 転院先について悩んでいる。 (このことでわたしの気分はここのところ沈みっぱなし)
今の病院から紹介されたA病院に見学に行ったところ、 お見舞いに通うには遠すぎて通えないと母が言い出した。 自分で他を探そうか、もう一度今の病院のソーシャルワーカーに相談しようか、 思い切って在宅介護をしようか、どうしたらいいのかとここ1ヶ月くらい頭を痛めていた。
今日の昼に父の様子を見に病院に行った。 仕事があるからいつもは週末しか行っていないので、 平日にお見舞いに行くのは久しぶりだった。
父と話をしていたら以前の主治医が病室に入ってきた。 (医者は土日にはほとんどいないから、会うのは久しぶり)
「今は主治医が変わってしまったんですけれど、以前話していた転院先はどうなっていますか?」 「10月中旬には移れるという話だったのに、どうしたのですか?」
とその医者に聞かれたから
「紹介されたA病院は遠すぎるので、 もう一度ソーシャルワーカーの人に探していただけるように 今日お願いしてきたところです。」
と私が答えたら
「こっちだって無制限に待てるわけではありません。」 「もう、期限を決めてもらわないと。」 「病院までの距離に制限があって、 支払える金額に制限があって、 (あともうひとつ何か言われたけれど忘れた) どれかは我慢しないと、それでは見つかりませんよ。」
と医者に言われた。
そんなことは百も承知だ。 こっちだって多少金額が多くなっても、多少遠くてもとは思っている。
「それは分かっていますが、もう一度探してもらいたいんです。」
と私が言ったら…
「A病院より安いところなんて、都内ではカプセルホテルしかありませんよ。」
だって! なんなんだ、その言い方は!
確かにグズグズと悩んでいるこちら側も悪い。 様態が落ち着いてきたから退院させたいという病院側の都合も分かる。
しかし、だからといって、医者が患者の家族に対してこんなものの言い方をして許されるのか。 しかもすぐ後のベッドには父がいるのに。 ボケてたってこっちの話していることはちゃんと聞こえているのに。
ものには言い方があるでしょ。
第一私はA病院に転院するのを渋っている理由として 「A病院が高いから」 という金銭的な理由は挙げていない。
毎日のように看病に通う母にとって遠くて頻繁には通えなくなるから、 もうすこし通いやすいところをと言っているのに、 「安いところはカプセルホテルしかない」 という言い草は、いくらイライラしているからといっても、 いくら腹が立っているからといってもおかしいのではないか。
この言葉を言われた瞬間、私は言葉にできない感情が おなかの底でグツグツ言っているのを感じた。 腹が立ったのか、悔しかったのか、自分で自分が分からなかった。 医者の顔をまともに見ることができなかった。
医者が帰ったあと父のベットの横に座ってたら涙が出てきた。 心配させたくないから必死に泣くのを我慢した。
こんなふうに他人の言った言葉で傷ついたのは久しぶり。
そのあと夜は仕事で打ち合わせに出席して、 ああだこうだ色々議論に夢中になっていたら 昼間にあった嫌なこともその間だけは忘れることができて、 すこしだけ胸がスッとした。
でも家に帰って一人になったら泣いた。
SMAP と仕事がなかったらこんな状況を乗り切ることはできないよ、もう。
剛くんは小さい頃から仕事をしてきて 大人の世界で揉まれてきて たくさん嫌な思いをしてきたんだろうね。 どうやって乗り越えてきたのかな。 何が支えだったのかな。
エンピツ日記には自分の両親のことは書かないって決めてたんだけど 書かずにはいられなかったね、今日は。
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