空路としては中部あたりから日本海に抜け、ロシア方面に向かっている。 地球儀で見ないと感覚がわからないのだが、かなり北のほうからヨーロッパに向かっているようだ。
目の前のモニターには時々刻々航跡が映し出されている。他の人は映画やニュースを見ているようだが、ただ一人、異国の上空を飛び越えていることに優越感を感じているのがおかしい。
外の景色を眺めたいのだが、窓のシェードを閉めるようアナウンスがあったようで、そのため機内は薄暗くなって、お休みタイムに入っていった。 それでも時折、スッとシェードを上にずらして外を確認しながら、シャッター・チャンスはないかうかがった。
雲の切れ間から、白く雪に覆われたモンゴルなのかどうかわからない国を見ると、不思議な気分になるものだ。
ああ、それにしても長い旅になった。少し眠る必要があるのだが、気分的に落ち着かない。シートから立ち上がって飲み物を調達にいくのだが、横ふたりに席をどけてもらわなければいけないのが大変だ。
〜つづく〜
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