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FKM crew



 スクリプターってこんな仕事

つまと、Nさんのお宅にお邪魔しました。Nさんは、黒澤明監督や新藤兼人監督など数多の巨匠の作品で、スクリプターとして活躍されていた方です。

私など、そもそも「スクリプター」という仕事をよくわかっていなかったりして(かなり失礼)、お話を伺っているといろいろ新しく見えてくるものも多かったです。

私の理解では、スクリプターは映画の制作工程全般を管理するお仕事。監督はじめスタッフや役者がスムーズに動けるように撮影現場の進行をチェックし、撮影現場と制作(編集)現場とのコミュニケーションを円滑に行ったうえで編集そのものにも少なからず参画し、場合によっては予告編も作ったりと、まさに作品の川上から川下まで携わるようなイメージ。

映画制作の全体を見守るのはてっきり監督だとばかり思っていましたが、Nさんいわく「作品に入り込みすぎた監督を、現実に引き戻す(笑)」のがスクリプターの役目なんだそうで。

そういえば、こないだ見た「アメリカの夜」でも、スクリプターの縦横無尽の活躍が見られました。あの中では役者までこなしてましたが(笑)。

その映画のすべてを細かなところまで把握し、必要に応じてあらゆる関係者のリクエストに即応しなければならない立場なので、いきおい、頭に入れておかなければいけない情報も半端ではなく、当時使われた台本などを見せていただくと、セリフ、衣装、撮影した時間、はたまた撮影場所の光線の具合・・・などなど、ものすごい書き込みの量に圧倒されてしまいます。


こんな感じ

裏方中の裏方で、あまり名前が出ることはないそうなのですが、そんなNさんが表に出ている作品が劇場版「アルプスの少女ハイジ」。構成監督としてオリジナル全52話(約20時間)を1時間45分の映画にまとめ切った時のご苦労など、とても興味深いお話でした。あの場面を残したのはなぜ、この場面を捨てたのはどうして、なんて話は、私もつまもオリジナルの放映をリアルタイムで見ていた世代だけに、なかなか盛り上がります。ファンの多い作品ですから賛否含めて反応も多く、また宮崎・高畑コンビらオリジナル作品関係者との関係もいろいろややこしかったりしたそうですが。

大正生まれのNさんですが、とにかくお元気。すべての世代に共通するお話をいろいろ伺いながら、ずうずうしくもあたりが暗くなりまでお邪魔してしまったのでした。

(よ)

2004年11月21日(日)
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