「愛したものはみんな壊れる」

それまでの波立つ出来事に因り、運命を透かし見たのは早かったのかも知れない。大袈裟に言えばわたしは己を呪われたものだと思っていたような所があって、だから手放すという事でしかその人を倖せへ導く方法がわからなかった。本気であればあるほど断ち切る事が唯一の解決法だと。

それを解ろうともせず聞かなかった人の変形してゆく未来を、その渦中に居てなによりも倖せだと言い切る笑顔の寂寥にわたしは何よりも傍で責め続けられなければならなかった。

だから強いものが欲しかった。じぶんの中に。呪われた運命にうち克たなくてはならなかったから。


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