「鎖鑰」
空濛とした世界で正しさの基準を手探っている。 見失わないように。ただ、自分を。 こころの中で禊を繰り返す。見落とさないように。ただ、自分を。 不純物を取り除いたソリッド。自分が自分で在るという事。 冒涜など誰に出来る筈もない。 いまもわたしにとりつく呪のような歪んだ執着。 まるでわたしに成り変わろうとさえしているような、 見えるもの全て盗み尽くそうとするような不気味な視線。 閉ざした扉を叩き続ける音を背中で聴いて、漸く安堵の溜息を落とせる。 それから世界を確認する。ピュアな愉しみを見つけ出す。 だから、わたしはわたしの世界を護る。 |