徒然エッセイ&観劇記
エッセイ目次|前|先
2002年02月09日(土) |
BShi「皇后エリザベート」及びミュージカル「エリザベート オリジナル版」に寄せる思ひ |
BShiで以前放映された「皇后エリザベート」一路真輝さんがウィーンのゆかりの地を訪ねつつ、皇后エリザベートの生涯を追ってゆく二時間のドキュメンタリー。 エッセンで公演中のミュージカル「エリザベート」の舞台映像ありーの、制作者・出演者へのインタビューありーの、全くもってしておいしーい番組でした。
まずは一路さん。御存知の通り、一路さんは日本公演「エリザベート」で宝塚版ではトート役を、東宝版ではエリザベート役をやっております。ウィーンにも何度も足を運んでいるらしく、度々「ウィーンには運命的なものを感じます」と語り、エリザベートと自分を重ね合わせ「エリザベートの気持ちが以前より深く分かったような気がします」と言い、それがマジなものだから全くツッコム隙もありません。ん?何か変な言い方ですが、特に皮肉でも何でもありません。とにかく、一路さんは心底天然にマジメな方で、そして運命が味方している女性だと思います。次いで一路さんはまさしく性格が良いので、それをホントに恐れ多く享受し、さらにその幸なる運命に甘えず、たゆまない努力をされている。そうなると誰も文句のつけようがないわけで、だからこそこれからも、皆の妨害工作などにも遭わず(笑)制作者にも共演者にもお客さんにも愛され、着々と上へ上へ向かってゆかれるでしょう。
ウィーンの街並、建物、食べ物も次々紹介され、そこに行ったかのように錯覚出来ました。食事の際のマナー教室まであったな(しかもナプキン広げただけで終わり・苦笑)←このようにちょっと無計画っぽい編集だった。たまにナレーション被ってるし。 食べ物が運ばれたとき、一路さんがウェイターさんに、お上品に「だんけしぇーん」と返します。というのも、あっちではウェイターさんに「ダンケ!(ありがとう)」というのがマナーの一つなのです。日本で言う「どうも〜」て感じなのかな。
そして!ウィーン産ミュージカル「エリザベート」の作詞をされたミヒャエル・クンツェさん! 彼は「トートというのは死や滅亡、新しい時代の象徴です」とおっしゃっておりました。同感〜(何て私が言うもんじゃないか) 作曲をされたシルベスター・リーヴァイさんは元・エリザベートのおうちに住んでいて、細君がエリザベート本人の大ファンなんだそうで。 リーヴァイさん曰く「私は私だけのもの」のメロディーを一幕ラストでフランツがエリザベートに歌うのは、彼女への屈服を示すのだよ、と言ってらっしゃいました。考え抜かれた作品はこういう仕組みがあった楽しいなぁ☆
更に!ウィーンエリザオリジナルキャスト、エリザベート役のピア様! 公演のたびに、「明日はもっと上手く出来る!」と常に自分を高めようとしてらっしゃるとか。役者とはそういうもんさね〜偉いね〜。 極めつけはトート役のウーヴェ様!(最後には一路さんと「最後のダンス」を踊る!くるくる回る!いいなあああ一路さん、代わって〜!!) トートとエリザベートは一つなんじゃないかしら?と一路さんが言うと、彼は「僕と同じ考えの人に初めて会ったよ!」とにっこり。(作者に言われなかったのかい?) トートはエリザベートの、自らのいま一つの心情を具現化したもう一人のエリザでもある。くじけ、死へと向かう心の象徴。抗えない運命の体現。予期する破滅の前兆。エリザもそれを知っている。そして自分の弱さや、世界のままならなさに反する。 死んだら自分と大団円ってわけで、濃厚キッスもしたくなるわね(笑・後述)
なぁんて殊勝ぶったこと言ってられませんわ。 何せエッセン公演の舞台映像がこりゃまたスゴすぎ!! ブランコから落ちたエリザベートを、トートがベットに運ぶ。抱き上げてキスをする・・・その容赦ないエロさ!(鼻血) 「最後のダンス」でトートに操られたかのようにゆらゆらしてるエリザベート・・・ぁぁぁ ラスト、エリザベートが死んで、トートに抱き上げられ、ものすごく濃厚なキッス!!!日本人でかつ乙女な(え?)私には、刺激の強すぎる濃厚さでした。
すいません、やはりエリザはエロの視点から見ても面白くてしょうがないんです(笑)
そして、マジメな話、ピア様の「私だけに」は感動でした。 寝巻きみたいな白い服をたなびかせ、今にも飛ばんとくるくる回り、もがき、抗い、強く自らの生を見据える姿。 あそこで感動したのは初めてでした。。。やっぱりリアリティと気合が違うのか? それから、ルドルフ歌う「僕はママの鏡だから」のシーン。ルドちゃんを助けたくてしょうがない、けど、出来ない、そのうずうず感がこちらにびしばし伝わって参りました。もう完敗です。 いえ、ピア様を褒めたからって、一路エリザを貶める意図はありません。あちらはあちら、こちらはこちら。 そういえば一路エリザの方が、強そうじゃない分「可哀想」度が高い気がする。共感出来る悲劇の好きな日本人にはこっちの方が合ってるかも。
で、トートはトートで日本版御両名とは違いまして、うん、とにかく「概念」ですね。エリザの分身であり、死であり、運命であり。。。だから私的感情を持たず、非常に冷酷そうに見えます。 日本版では、どっちかってーと人格を持たせた「死神」として描かれています。訳詞もそうなっているし(閣下だし) とはいえ私も、山口トートの歌声を聴いた時、こりゃあ誰にも抗えない、「死」や「運命」だと体感致しました。ドクトルゼーブルガーのエロに萌えるのとは別の次元でね(笑)トート閣下のエリザへの「恋」や「愛」はハナから問題外です(私が恋愛に興味がないのも手伝ってか・笑) それを「恋」と言うなら、その意味はエリザベートに対する、「死」があるいは「運命」や「歴史」の強い必然、と言い換えるとかっちょいいでしょう。
舞台の話に戻りましょう。ラストでトートはエリザのキッスを受けつつ彼女を抱き上げ、舞台後方へ歩いて行って、振り返るとエリザはカクっと息絶えております。か、かっちょいい・・・ それからウーヴェ様は動きがすっごいキビキビしてる。これはトートもエリザも他キャストも同じで、いちいち動きにキレがある。こっちを向くぞ!て感じで首がぐるっと瞬時に回るんです。それはあっちの人の普段からの仕草なのか、あっちの舞台上ではそういう演技が普通なのかもしれません。
ルキーニはエッセン版になってから妙になよっちいオカマ声の人になったのですが、これはこれで誰でもいいから暗殺しちゃええって思いそうな得体の知れなさがあっていいのカモ(笑
舞台装置もお衣装も、生で見てぇぇぇと思われるものばかり。ルドちゃんの葬式では後ろに骸骨の山が積んであったよ(日本にはなかったよね?←よく見ていない^^;) キャストは皆オーラびしびしだし!!(ピアもウーヴェも初演1992年からもう10年経ってるんだね。そりゃパワーアップするわ!) ドイツ語だし!!(全て意味が聞き取れずとも、響きだけでもぅ愉悦☆)
というわけで、私の渡独熱、現地でエリザ見たいよ熱は更に更に増長する次第。
♪がまーーん、出来なぁぁぁい♪
くそ。絶対叶えてやるっ!!(燃)
|