⊂中絶。⊃
2001年06月18日(月)

まえに学校で『全ての子供は、望まれて生まれて来なければならない』、ということをならった。
…もし、望まれずに生まれた子供が在たとしたら…?
現にそれは否めず。

あたしの両親には担当がある。
母親は妹担当。
父親はあたし担当。
あたしが母の家に居た時だって、父はあたしの食費、諸々を母に払っていた。
当然の様に、母はそのお金を消費する。
あたしは滅多に御飯を食べなかったし、食べたとしても雑炊くらいだった。
そしてお金が足りないと、母は父をあたしに電話で呼ばせ、喧嘩。
それが、嫌だった。
それを拒否しようものなら母は狂った。
狂人。
大嫌い。
精神異常者、誰が。
『出で行け』
それを云われるたびに、あたしは居場所を失う。
もう、慣れたこと。

何度目か、今度は本当に母が家を出て行く日、母と祖母は妹を、その腕が引き千切れるほど取り合った。
両方の腕を引き合って、千切れてしまえばいいのに、と、その光景を見ながら静かに思ってた。
妹は顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いて結局、母の車に乗り込んだ。
そして、あたしは残されて。
漠然と、『在なくていいんだ』とか思った。
冷静だったし、安心もした。
去り際の母親に『あなたは母親の居ない子供になるんだよ』って云われた。
未だ彼女はあたしの母親で、あたしに居ろだの消えろだの云う。

あたしは望まれて生まれた子供じゃない。
授業中そう思うと、あたしは無様でならなかった。
そうしてまたひとつ、何かに失望する。
狂いたかった、壊れてしまったかも知れない。
でもあたしは彼女の子供で、母親が恋しかった。
いつもあたしを置いて行った。
あたしをひとりにする。
醜いあたしを産んだ時、彼女はあたしに絶望したんだ。
血塗れのあたしを見て、どんなに深くあたしを責めたろう。

手さえつないでもらえなかった、幼い日。
ざらざらとした感触だけが、必死にあたしの存在を振り解いてた。

いつもいつもいつも。


広い世界で孤立してゆく。
生きる無意味さに流されてしまいそう。



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由弥 [御手紙]