それでも笑って生きていく



 浴衣が欲しい

新しい浴衣が欲しい。
今年こそは本当に気に入ったものを新調したい。

ここ数年、ずっと思いつづけて、
ここ数年、ずっと、気に入った浴衣が見つからない。

藍色の生地にシンプルで上品な柄がついた
ごくごくありふれた昔ながらの浴衣が欲しい。

そう思って、ふらふらと、デパートの浴衣売り場に
足をむけたら、あるじゃないですか。
藍色の生地に、ぼんやりとした線で描かれた
ピンク色の撫子が描かれた浴衣。
有名なデザイナーさんの名前がついた
自己主張の激しい柄ではなく、
幾分、ぱっとしない印象さえ受ける柄。

本当にひっそりと、陳列されていたその浴衣は
色も、柄も、雰囲気も私の好みにぴったりで、
店員さんは、その浴衣に合わせて
帯までも薦めて下さったので、
本当に、欲しかった。
もう少し、理性のブレーキがゆるかったら
きっと、お持ち帰りしてただろう。

でも、この浴衣、きっと今年は着る機会がない。
そう思ったら、どんなに気に入ってる柄でも
私のものにするのは気がひけてしまった。
箪笥の中に幽閉してしまうのは、浴衣に申し訳ない。
衣装は、身に纏ってこそ、生きるもの。
袖を通してくれる人のもとに嫁ぐのが
浴衣にとっての、幸せだと思うから…。
今回は、我慢。

…なぁ〜んてことをいっておいて、
結局、我慢しきれずに買ってしまうのは
私にとってはよくある事。
頑張れ!!理性。

2003年06月18日(水)
初日 最新 目次