ネタバレには気をつけていますが、読んでいない人は注意です。
『玻璃の天』、北村薫さんのベッキーさんシリーズ第二弾。
「街の灯」に続く二冊目。 昭和初期を舞台にした、お嬢さま「英子」と女性運転手ベッキーさんが遭遇する、3つの物語。 ちょっと難しいところもあったけど、それは勉強不足かな;^^
今回、最後にベッキーさんの正体が明かされる、ということは知っていた。
昭和初期という時代を考えても、あまり明るく爽やかな内容ではなさそうだなとは思っていたが、ベッキーさんは苦しみを背負っていたことを突きつけられる。
「日常の謎」に代表されるような、おだやかで、透明な雰囲気をまとっている……そんなイメージを私は勝手に作り上げていたのだけれど、時の三部作の最後の一作「リセット」のあたりから感じていた、この時代への想いがここにも流れている。
本の帯にあった一節が、それを象徴している。
「人間のごく当たり前の思いを、
率直に語れる世であってほしい。
だが、そのことが愛する人たちを
苦しめる世だとしたら、
どうすればよいのか。」
今の私たちは、時代がこれからどこに向かい、彼らがどうなっていくのか知っている。 切ないよね。本当に切ない。 そんな中でも、凜としたふたりの女性が、どこまでも愛おしい。
|
2007年05月09日(水) |
|