★光原百合。『時計を忘れて森へ行こう』

光原作品は、単独の本としては二冊目(と思う)。
前に読んだ「十八の夏」の中の短編に心惹かれて、もっと読んで
みたいと思っていた作家さんである。

今回の「時計を忘れて森へ行こう」の舞台は森。
その守人と彼を慕う高校生の語り手の彼女が主人公。

織り成されたたくさんの透明な言葉が、枯れた心に響いた。
「何かできるときに何かしてあげることは簡単ですが、
何もできないとわかっていて、それでも全身全霊をあげて
そばにいるのは本当に難しい」
「悲しみを癒すことは神様と時間にしかできない。
だけど苦しみを悲しみに蒸留することは、もしかすると人間にもできる」

もしかすると、私のアンテナはすっかり錆び付いていたのだ。
たぶん、大切な何かを忘れている。
涙が出た。
2003年10月06日(月)
By ちゃいむ

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