「静かな大地」を遠く離れて
DiaryINDEX|past|will
僕には夏休みというのはなかったけれど。人生ずっと夏休みだ、という説もある(^^; 人生の大事な一時期を『静かな大地』と併走することができたことを感謝したい。 去年の6月に書き始めた「『静かな大地』を遠く離れて」も、存在意義を失う。 ラストは『熊から王へ』ばりの神話的次元の挿話で終わった。 そして大ラスの今日のくだりは、ある意味『骨は珊瑚、眼は真珠』や 『マリコ/マリキータ』所収の「最後の一羽」「北への旅」「帰ってきた男」 あたりの短編群と透かし合わせてみると、案外と御大らしいのかもしれない。 その線ならば、「現実」に射し返す角度も可視化されようというものだ。 個人的には由良が少女時代に見たハレー彗星の叙述がないのは納得いかない(笑)
ともあれ、いろんなことがあった一年あまり。終了直前には“遠別”にも行った。 去年の夏、休暇で『武揚伝』を抱えてオランダへ行ったのも印象深い。 もうすぐ仕事に一区切りついて、また旅に出かけようと計画している。 行き先の天啓が、先日やっと降りてきたところ。 ある意味、ニューイングランド、オランダと「遡行」して来たテーマと、 1999のギリシアの体感との間に橋を架けようとする試みである。 旅はいつも、たとえ表層的には観光旅行でも、自分と世界の間に梯子をかけよう とするギリギリの行為だ。今回ももちろん、「ここしかない!」という場所♪
御大も『パレオマニア』の取材も再開されているようである。 Cafe impalaで写真つきの報告を読むことができる。 僕も青いビルケンシュトックを履いて、どこまでも歩いていこうか。
連載が始まる前に↓こんなリストをつくったけれど、その増補をしておこう。 http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=25026&pg=20010610 未読のものも含むけれど、自分の書いてきた日録のサブタイトルなんかより これらの書名を並べたほうが、この頁の雰囲気を想起するには有用だろう。
■『静かな大地』を読むための100冊に加えてのリスト 101 佐々木譲『武揚伝』(新潮社) 102 磯貝日月『ヌナブト』(清水弘文堂書房) 103 姉崎等『クマにあったらどうするか』(木楽舎) 104 篠田節子『弥勒』(講談社文庫) 105 ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争』(平凡社ライブラリー) 106 切通理作『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書) 107 中沢新一『人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ1』(講談社選書メチエ) 108 中沢新一『熊から王へ カイエ・ソバージュ2』(講談社選書メチエ) 109 梨木香歩『からくりからくさ』(新潮文庫) 110 佐々木譲『黒頭巾旋風録』(新潮社) 111 巽孝之『リンカーンの世紀』(青土社) 112 奥出直人『アメリカン・ポップ・エステティクス』(青土社) 113 川端裕人『緑のマンハッタン』(文藝春秋) 114 枝廣淳子『エコ・ネットワーキング!』(海象社) 115 辻邦生『銀杏散りやまず』(新潮文庫) 116 辻邦生『樹の声海の声』(朝日文庫) 117 高村薫『晴子情歌』(講談社) 118 吉田司『宮澤賢治殺人事件』(文春文庫) 119 澤井繁男『ルネサンス』(岩波ジュニア新書) 120 日野啓三『ユーラシアの風景』(ユーラシア旅行社出版部) 121 芳地隆之『ハルビン学院と満州国』(新潮選書) 122 長山靖生『偽史冒険世界』(ちくま文庫) 123 西成彦『森のゲリラ宮澤賢治』(岩波書店) 124 松浦武四郎『アイヌ人物誌』(平凡社ライブラリー) 125 池澤夏樹『新世紀へようこそ』(光文社)
題:425話 遠別を去る25 画:チョコレート 話:伯父のことを最も知ってほしいのはアイヌのみなさんだから
題:426話 遠別を去る26 画:ラスク 話:意味を枉げないためにわたしもそのまま記してみようか
題:427話 遠別を去る27 画:キャンディ 話:勇ましいことを言いながら、その実、事態は泥沼にはまっている
題:428話 遠別を去る28 画:アサヒ豆 話:滅びゆく民、という言葉がわたしは嫌いだ
題:429話 栄える遠別29 画:バター飴 話:世の中はそれほどまっすぐにはできていないと人は言う
題:430話 遠別を去る30 画:ハッカ飴 話:本来ならば狩りをする者は獲物の魂を手厚く神の国に送る
題:431話 遠別を去る31 画:羊羹 話:熊に対してこんな思いが湧くとはおかしいと思った
題:432話 遠別を去る32 画:蕎麦ぼうろ 話:身体は丸っこくなり、顔も変わって鼻面が伸び、少年は熊になった
題:433話 遠別を去る33 画:粟おこし 話:寂しさは積もって悲しみになり、悲しみは積もって絶望になった
題:434話 遠別を去る34 画:ポン菓子 話:誰もいない何もない山に風が吹くばかり
|