「静かな大地」を遠く離れて
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題:355話 馬を放つ25 画:ギョリュウバイ 話:険しい山道を歩く者が、谷の深さにいきなり気づいたようなのです
題:356話 馬を放つ26 画:フジバカマ 話:万一のこととして考えてみよう
これから年齢を重ねていくというのは、近しい人、大事な人と死別する機会が 増えていくことと同義なのかもしれない。理屈ではわかっていても、だんだん とそれを思い知らされる出来事が、頻繁になってくるということなのだろう。
ナンシー関さんが昨夜亡くなった。39歳の急逝。ずいぶん彼女の文章に力を もらってきたし、物事の見方の師匠としての「学恩」めいたものさえ感じている。 国歩艱難たる日本で、ほとんどただ一人、常に信頼に足る見識を示してくれる 批評家であったと真剣に思う。M繁氏より先に逝くなんて…というような稚拙 なツッコミを手向けにしようにも、どうにも行き場のない喪失感だけが残る。
偶然身近なところでも、今日、若くして人生の伴侶を病気で亡くした方がいる。 死は近いところにある。死を無いことにして忘れ去ることより、死とつきあう スキルを高めることのほうが大事なのだろう。そしてそれは慣れることの出来 ようはずもない他者の死を考えることではなく、自分の死を考えることでしか 高めることのできない覚悟、なのだろう。それは自分の生を想うことでもある。
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