「静かな大地」を遠く離れて
DiaryINDEX|past|will
題:191話 戸長の婚礼11 画:薬瓶 話:おまえ、私の嫁にはならないか
騎乗の求婚。シチュエーションとしては、なかなか良いですね。 日高が馬の国、緑の国であることの原神話のように美しい光景。 光と風、海があって、川があって森があって、緑の牧草地が広がる。 冬はひたすらに真っ白な“すばらしい銀世界”だけに、期間限定の 萌え立つ緑の季節は、生命の息吹にむせかえる。子馬もいるし(^^)
至福の恋人たちの時間。これから三郎がどんな境涯に陥るにしても、 こういう幸福な時間がたしかに在ったこと、それは消え去らない。 幸福と災厄は隣りあって存在している。
世界が内包する音を顕在化させた「幸せ系」のCDが手元にある。 北海道の田原ひろあきプロデューサーの手になる最新の仕事。 http://www.booxbox.com/
■長根あき「Mon-o-lah モノラー=母なる大地」 アイヌ民族の口琴「ムックリ」が歌う、 「モノラー=母なる大地」の響き。 参加アーティスト:EPO・等々力政彦・嵯峨治彦・渡辺亮
竹のムックリは僕も弾いてみたことがある。倍音は出るのだけれど、 それにさまざまな綾や節をつけないと「演奏」にはならない。 びょんびょん♪から先、 そこが難しい。 が、この長根さんのムックリの彩なす音たるや、一体なんだろう? これはコトバで説明するのが空しい、聴いてもらうしかない。
シュタイナー教育では、子供に最初に与えるシンプルな弦楽器を 大事にするらしい。ペンタトニックだけを奏でる楽器で、気分に まかせて弾いても、不協和音ではなくちゃんと音になる。 子供はそれで自然の音を模倣したり、感情を音で表現することに トライしたりして存分に遊んでから、いわゆる本物の楽器の稽古 に移行するのだという。いきなりヴァイオリンやピアノのお稽古 を、しかも無理矢理やらせたりするのは有害かつ危険なのかも。 そう考えるとムックリなんかは、究極の「原楽器」かもしれない。 あくまで口というか身体が楽器で、そのアタッチメントみたいな。 ヴァイオリンやピアノも、遣い手の演奏家たちにとっては同じ ように身体の延長上にある外部装置みたいなものなのだろうな。
こんなマイナー極まるCDがちゃんと手元に届き、しかも沢山の 人の支持を得ている。ネットを介して、届くべき人のところに届く べきものが届く。マス・プロダクトにも幸福と災厄が混ざっていた。 それがいま、部分的な現象かもしれないけれど、広くて速くて濃い フィードバック・ループがあちこちに形成されている。 キャラメルの千秋楽は、スカパーで生中継、かつ池袋と神戸の会場 で同時中継もされた。巨大メディアよりも、小回りの利く、面白い ことに目がない人がいるチームの手で革新は進められて行く。 思いっきり個人的=身体的なライブの部分と、ネットとの結合。 「Mon-o-lah モノラー」が僕の手に届いたのも、田原ひろあき プロデューサーの活躍おかげなのだ(^^)
手ざわりのある未来。それを求めて、個であることを追求しよう。
|