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2001年05月29日(火) 「戯曲研究(1)」

『「戯曲」とは? 』

喜●先生 ※シェイクスピア「夏の夜の夢」(新潮文庫版)使用

◎「戯曲」とは?
これについては、ウチの学校の戯曲研究の授業でも話があったらしく、担当の先生から聞いていた。
「戯曲」と「台本」は微妙に違う。
戯曲は、あくまでも「文学作品」。
台本形式で書かれた物語。

◎戯曲…というか、この作品の「読みにくさ」
・筋を追いにくい
・文体が難しい

◎戯曲は構造を把握すれば分かりやすい。
・〜幕〜場→実際の場面転換というよりは、事件などの単位として考えた方がよい。
・登場人物がどの場面で登場し退場するか、一覧表にすると分かりやすい。
・限られた時間の中で物語を展開し、終着させないといけないので、一見複雑にみえる物語も、終着に向けて構造は工夫されている。

※「夏の夜の夢」における3つの大筋。

背景…『シーシアスとヒポリタの結婚』
葛藤があるわけではないので、物語とは言えないが、結婚までの4日間の出来事である、という背景を提供、最後は結婚によって物語が締めくくられる。

『4人の若い男女の恋のもつれ』
『オーベロンとタイタニアの夫婦喧嘩(?)』
『町の衆の素人芝居』
葛藤を含み、それをいかに解決するか。最後には解決されるが、それまで、3つの物語が少しずつ絡み合いながら、展開していく。

◎舞台について

《額縁舞台》
現代の、一番一般的な形の舞台。客席と舞台が完全に分離し、舞台と客席の間には、見えない壁(第4の壁)がある。

*装置がある。(ことが多い)/照明効果あり/客席と分離。

《張り出し舞台》
舞台か客席に「張り出して」いる感じ。例えば…
日本の能舞台→二方向に客席。幕はないので、客席と未分離。
グローヴ座(ロンドンにあったエリザベス朝の劇場。シェイクスピアが使用)
→三方向に客席。役者は舞台奥から登退場。幕はなし。

*基本的には装置なし/照明なし(野外の太陽光線か、蝋燭など)/客席と未分離
→天候時間の変化は、台詞(や、音響、小道具など)で表現しなくてはならない。
(例:28頁「“夜”をさまよう浮かれこぼうず…」・29頁「“月の夜”に…」=夜)
→客席への語りかけがある。
(例:能の名乗り。/20頁 ヘレナの長ゼリフ=これからのしようとしていることを“客に”伝える。)

◎シェイクスピアの“言語”
“名乗り”的なものは少ないが、独白・傍白は多い。
独白…舞台に一人しかいない。(独り言)
傍白…複数の人間がいる場面で、他の人には聞こえていないことになっている台詞(aside)

◎原文は原則「韻文」。だが、職人たちは身分が低いので「散文体」


◎次回までには、必ずテキストを読んでくること

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舞台の違いが、戯曲の(芝居の)性格をかえる、というのが面白い。
あくまでも、沙翁の作品は当時の演劇のスタイルにのっとったもの。
ならば、現代なら、もっと自由なアレンジは可能ということ。
…と理解していいのかな。

最後の方で出てきた、身分による言葉の違いが、個人的には興味深い。
というのも、卒論で、歌舞伎「世話情浮名横櫛」において言葉遣い(文法)が身分によってどのように使い分けられているか。(古めかしい言い回し、新しい言い回しの分布?)というようなことをやったので、古今東西同じような現象はあるんだなと、ちょっと感動した。
歌舞伎などでも、たしか、高貴な者は「韻文」調のはず。もしくは、「韻文調」によって雅やかな雰囲気を作り上げることは多い(はず)。
不思議な一致。面白い。


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