2003年05月20日(火) |
金融Big Bury |
タイトルは誤字ではありませんので悪しからずお願いいたします(悪いのは私の性格です)。
さてさて、ニュースなどではりそな関連のお話が沢山出てきていらっしゃいますが、どうもテレビでコメントをしていらっしゃる「有識者」「関係者」「専門家」という方々は本当の事を仰らないご様子ですね。正直本当に洒落にならない前例だという事を日本でどれだけの方が認識していらっしゃるのでしょう。甚だ不安に思います。
そんなわけで、今日は少し真面目にりそな周りの事情を考えてみることにします。正直、この日記を読んでくださっている方々の興味とは間逆の方向かもしれませんが宜しくお付き合いください。
さて、それでは手始めにりそなが(事実上の)国有化をされた理由から考えていきましょう。何でも、「危険水準以下への自己資本比率の低下」を見かねた国が「国民の皆さんの預金を守るため」特別に保護して立て直しましょう、というお話。無駄遣いしまくってカード破産した子供に際限なく小遣いを与える駄目親を連想するとわかりやすいかと思います。
この段階から色々と突っ込みどころが満載でまるで私の生き様の様ですが(カードは持っていませんが)、そもそも銀行への預金というものは、「増やして返すから運用のためにお金貸してください」って性格のものです。他の金融……株にしろ先物にしろ、自分で買っておいて価値が下がったら怒るなんて人はイタイ人だけです。「銀行に預けたら、金は減らない」なんて魔法みたいな前提は夢想にしかすぎない事は、この不況と銀行の状況を知る日本人なら誰だってわかっています(わかってない人も多いのが実情ですが)。それを「預金を保護するため」国有化です。何のギャグでしょう。そもそも、「痛みを伴う改革」という言葉はどこに行ったのでしょう。どうも、日本国の上の方の辞書には不公平という言葉が載っていない様です。
で、この「自己資本比率の低下」の理由なんですが、これがまた「監査法人の監査が従来と異なり、通常ならば問題は無かった」というふざけたものです。監査会社が何か異常な事をしたわけではありません。もし法に触れる様なおかしな監査をしたら、監査法人は割とキッツい罰を受けるはめになります。要するに、癒着並みに激アマだった基準が、普通になっただけなのです。
また、激アマから普通に監査した部分を「繰り延べ税資本」と言うのですが、これは「来年儲けるから今年は大目に見てよ」と、自己資本を水増しするためのものなんです。おかしな話でしょ? これ、自分で真っ当に自己資本を用意できなくなった、一部の銀行だけに大幅に許されてる特権なんです。 で、これ、一年目は良かったんです。「来年儲けるから」って言えるので。ですが実際に銀行はどこも儲かるどころか大赤字。で、困ったのが監査法人。これで今年もOKしてしまうと、大嘘つきとして責任を取らされます。いくら自己資本ってのが銀行の資本の数%だと言っても役満確定責任払いで「あれ? やっちまったぜはっはっは」どころの話ではありません。どんなに溜め込んでる監査法人でも一発でふっ飛びます。で、また金融庁が監査から逃げちゃったんですね。最近。そのせいで監査法人の責任がどっっと重くなった、と。 そんなこんなで監査法人がホントの事を言っちゃったのが、事の発端なんですね。
で、です。テレビなんかで「これはりそなのケースであって、他の銀行が同じ事になるとは限らない」と、自称知識人さんなんかが語っていらっしゃいました。 確かにりそなは合併当初から「弱いもん同士で集まって何する気?」と言われていました。しかし、どこの大手銀行だって同じ事やってるんです。厳しいのはどこも一緒で、どこも繰り延べ〜を利用してるんです。同じにならない筈が無い。
もし、あと二行くらい同じ事になったとします。普通に考えると2兆×りそなを足して3行で6兆使えばOK、とお思いになるかもしれません。しかし実際はそんなもんじゃ足りません。例えば今日、日銀はりそなの影響を考えて市場(株価ね)の混乱を抑える為に金をばらまきました。2兆だか4兆だか記憶がはっきりしないのですが、これまた途方も無い額です。限度って言ってたバラマキ額(色々あわせて27兆だったかな?)をあっさり超えました。挙句に限度の方を変えちゃいました。
りそなは一番はじめだからまだいいですが、ボコボコと大銀行が国有化されれば市場の反応は二乗、三乗と悪くなる。そのケアをお国が金のバラマキでどうにかしようとするのなら、数十兆の金が必要になることでしょう。数十兆です。それだけを普通の企業にばらまけば、大銀行を潰しても助かる企業は物凄く沢山あるはずで、それこそ痛みを公平に分け合った改革と言えるはずです。もう色々間違っちゃってます。ご趣味への無駄遣いにしてはちょっとオイタが過ぎる様な気がします。
まあ、国もつぎ込むだけつぎ込んで破綻した長銀のケースで少しは学んだ様で、「りそなが立て直されて健全になって利益を出せれば」「徐々に」モトがとれるような仕組みにしているそうです。これは私見ですが、銀行という業態自体、伸びる世の中でなければそうそう成り立たないものだと思いますので、どうなる事やら。期待はさらさらしておりませんが。
ただ、今回の件で少しだけマシなのは、「That's膿」こと大銀行経営陣の方々が責任を取って退陣したというところでしょうか。色々聞き及ぶところでは相当ドロドロしているみたいなのでこれは万々歳でしょう。日本の悪しき「メインバンク構造」に一石が投じられる事を期待します。 でも膿が出てかわりに雑菌が入ったら割とどうしようもないので竹中さんとか直接指揮を執っては如何でしょう。まあ、首挿げ替えた後の方策とかが何も見えてこない現状ではやらないでしょうけれど。
と、まだまだ色々ありますが、とりあえずこの辺で区切りを付けますか。 要するにまあ、こんなにながーい日記になってしまうほどヤバイんだよ、と言いたいわけなのです。 こんな23歳の若造に好き放題言われるくらいなら、三倍生きてる分の根性見せてみろ、と大先生方に言いたいわけですが2兆がどうしたと偉そうな事を言う前にせめて給料分の仕事しろというわけでしてすみません明日頑張ります(あ、でもサッカー五輪代表の試合があるから残業は嫌です)。
ああ、そうそう。私の日記を鵜呑みにすることがどれだけ危険かは今までの日記を読めば良くわかりますよね(間違いがあったら教えてください)。
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