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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2006年04月13日(木)
ひどくうつくしいこうけい

すこし、


意気に感じるところもあったので、アパートを出て、近くのカフェまで出てきてみた。色々整え直してみたく思って部屋を飛び出すことはよくあるけれど、とどのつまり意図した結果を得ることは割と難しい。注意をほかに逸らすだけでなく、注意をそのほかの何かに集中させなければ何にもならない。ファストダイエットに取り組む心持に近づかせなければいけないなと勘は働く。でもファストダイエットなどやろうと思ったことすらない。


ちょうど折よく、そのカフェでは抹茶を出していて、僕はそれを頼み、それが運ばれてきて、それをマジマジと眺めている。正方形の木のトレイにどっしりとした器が幅を利かせて、その器の中に熱い緑色の濁った液体が入っている。つまりそれが抹茶だ。


抹茶を一口、二口啜っていると雨が降り出してきた。ポツリポツリと降り出した雨はやがて密度の濃い通り雨に変わり、その雨に煽られて店の中に柔らかい春の空気がさっとかき乱す。突然の雨に慌しくなる四辻の様子が僕の座っている席からよく見えた。そしてシンシンと心が澄み渡っていくのを感じることも出来るのだった。それはひどく美しい光景であるように思えた。