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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2005年11月15日(火)
次の日の夢の話

肌寒い曇りの日で、部屋の中はひどく散らかっている。靴下も履いていない。僕は布団の上にB4くらいのケント紙を広げて絵を描いている。最初力強い思いつきで筆をとるのだけれど、気力はみるみるうちに萎えていく。何と言うか、描けば描くほど砂が海に洗われるように、インクはドンドン薄く消えていく。それで仕方なく紙を取り替える。さて気持ちを取り直してもう一度描きはじめようとすると、筆が無くなっている。ウグイス色の柄の太い毛筆の絵筆。だがそれほど思い入れのある筆であるわけではないので、絵筆入れからもう一本取り出して描き始める。絵筆入れには沢山の絵筆が筆先を頭にして並んでいた。絵はしかしまた同じ症状に見舞われる。まるで蒸発してしまったみたいにインクは色も形も残さず揮発してしまう。そして筆もやはり何処かに消えてしまった。そんなことが何度も続くうちに筆は最後の一本を残して全て紛失してしまう。最後の一本は赤い柄の絵筆。夢の中でも自分がその筆をひどく気に入っていることが分かる。少しのためらいののち絵を書き始める。しっかりと絵筆を握って。だが絵はやはり同じような顛末を辿ってしまう。僕はその失望感に必死に耐えたけれど、気がつくと絵筆は消えていた。布団をめくりその他ガラクタを手で無理やり払いながら絵筆、とりわけその赤い絵筆を探す。しかしまるで見つけることが出来ない。言い表しようのない悲しい気持ちにのまま目が覚めた。