ナナとワタシ
INDEX|前へ|次へ
世の中には「別れさせ屋」なる仕事があるらしいではないですか。 なにごとにつけ、何かを「させる」屋ってのは、こりゃすごいなと、人を動かすどころか自分に何かをさせることすらままならないワタシなんかは思うわけですよ。
と、前フリ的ひとりごとをつぶやいてから、本題に入らせていただきます。
-----
「ひとりになりたい」
前回のナナワタでの長電話の、これはナナ側の重要なテーマでありました。 ちなみにワタシ側の重要なテーマは「もっとワタシのこと考えてよ」という、文字に起こしてみると恥ずかしくてふとんかぶりたくなっちゃうようなソレだったわけですが。
ナナ、腰すえて勉強したいときなんかに、特に「ひとりになりたいなー」と思うらしいんですけど。 ひとりになりたい、というよりは、「家族と離れたい」という気持ちが強いようです。
「あー、あたし、なんで自分の部屋、つくっておかなかったんだろう・・」とナナ。 ナナ以外のすべての家族の部屋はあるんですよね。 しかしナナ、家を建てるときは今よりも子育てに燃えていたというか神経質でしたので、 「自分の部屋はいらない。リビングとキッチンにいつもいるようにすれば、子どもたちにはそのほうが良さそうだし」 なんて思っていたらしいんですよ。
ま、「肩に力はいりすぎてた( ´_ゝ`)」と、割とすぐに後悔したらしいんですけどね ァ'`,、('∀`)
で、今は、末子ちゃんの部屋の隅っこを借りて勉強しているらしいです。 リビングじゃダメなの?と聞いてみたら、「パパのグチと語りにつかまっちゃうからダメ」だそうで。
「でも、リビングの隣の和室、空いてるんじゃないの?」とワタシ。 「そうなんだよね。そこ、あたしが使っていいってことになってるんだけどさ。 ・・・プーちゃんスペースにしちゃったのが間違いのモトだったのかも」
プーちゃんというのは、ナナんちで飼っているトイプードルです。 この世でいちばんうざいんじゃないかと思われる性格をしております。なつこくてかわいいんですが、とにかくうざい。 かまえかまえとうるさい。なでろなでろとうるさい。遊べ遊べとうるさい。そして、くさい。
プーちゃん部屋となってしまった和室は臭く、おまけにナナが忙しくて掃除をさぼっているのでホコリっぽくなってしまい
「あそこで勉強してると、気管支喘息が悪化する気がして」な状態なんだそうです。
ならタバコやめれば?と言いたいところですが、禁煙中のワタシがそれを言うと、なんか偉そうでイヤミっぽいので言ってません。 ナナのカラダよりも、自分がナナにどう思われるかを優先する、いつでも我が身がかわいいじょりぃ(´∀`)
で、結局、試験前にがががーーーーっと勉強しなければならないときは、ファミレスに避難して勉強しているらしいんですよね。 最近は「勉強の途中で30分仮眠、とかできそうだから」ってことでネットカフェも候補に入れているらしいんですが、よくわからないから入るのがめんどくさいんですって。 「そもそも、勉強するのにそんな余分なお金かけるの、間違ってるしねー」とも。
そんな話を聞いたもんですからね、じょりぃ、言いましたよ。
「なるほど。 ワタシ今ならあんま忙しくないし、和室、掃除しにいってあげようか?(・∀・)」
ワタシってやさしくて涙が出そうなんですが、相変わらず誰もそう言ってくれません。
「マジ?(・∀・)」 「マジ(´∀`)」 「てかあなた、掃除とかできんの?(笑)」 「できるよ!・・・たぶん(・_・)」 「ならさー、まずは自分ちの掃除からしなよ」
ぎゃふん。
「そうなんだけどさー。うちの掃除しても、あなた、ラクにならないじゃんね?」 「あ! いいこと考えた!」 「なに?」 「じょりぃの部屋、相変わらず汚いの?」 ひどい質問ですが、事実なのでしかたないです。 「うん。相変わらず汚いよ」 「掃除しなよ!」 「はあ」 「そして、こたつも入れて」 「こたつ?」 「あたし、行けるときはそこに通って勉強するから(・∀・)」
は い ?(°▽°)
「へ? ワタシの部屋を勉強部屋にするの?」 「ちょっと遠いけどなー。片道30分でしょー?そこが難だよなー」 いや、そういうことじゃなくて。
「・・・でも確かに、ワタシの部屋って寝るだけの部屋であって、 それ以外のときってもったいない部屋になっているわけかー」 とワタシ。 「もったいないねー」 「そだね・・・てか、マジで部屋キレイにしてこたつ入れたら、ワタシの部屋で勉強する?」 「するする! 部屋汚くてもいいよ別に」 「いやでもホントに汚いから」 「あ、そだね。うちの和室よりもホコリがすごそうだし。それはなんとかしてほしいなー」 「うむ。咳で勉強どころではなくなるだろう。掃除は必須だな」 「ホントに掃除してくれるの? 部屋使っていいの?」 「そだね。ワタシは寝るとき以外はその部屋に行かないから、あなたカンペキひとりの時間になれるよ」 「やったーーーー」
そうかそうか。 そんなにじょりぃがいない部屋がうれしいか(´∀`)フン。
「来るとしたら夜でしょ?」 「うん」 「・・・泊まる可能性もある のかな?」 「そうできるといいねー。時間気にしないで勉強できるし」 「となるとさー。 ワタシたち、あー、一緒のベッドに寝ることになると思うけど?」
いけね。 さりげなく言おうとしたのに声が大きくなってしまいました。
「(笑)いいんじゃない? じょりぃがいいなら」 「マジで?(*・∀・*) あー、ワタシのベッド、小さいけど?」 「うん」
「わかった。そうじする」 しまったまた声が大きくなってしまった。
「あ、こたつはよろしく。あともういっこ暖房器具がほしいなー」 「てか今、そもそもこたつがないよ?」 「じゃあ行けないや・・・あたし寒いとキレると思うし・・・(´・ω・`)」 自分がキレる予告をしょんぼり風味にするなっつーの。 「マジでキレそうだよね・・・そしてキレると怖いし・・・」 「怖いと思うよ」 「まあ、あなたがキレない程度にはちゃんとあったかくするから、大丈夫」 「やったーー」
ホントにうれしそうなナナ。 しかし、ちょっと待ってくれたまえ。
「でも、きょんの許可をもらってからでないと、無理よ」 とワタシ。 「え? そうなのー?」 「だって一緒に住んでるんだもの。 夜遅くにあなたが家にいること、ちゃんと話して許可を得るべきだと思うし」 「なーんだ(´д`)」 「なによ、なーんだって」 「だってさー、じゃあ結局無理じゃん。 ふたりでいくらここで相談してたってさー、きょんさんの一言で全部ダメになっちゃうかもなんじゃん。つまんないの」
なんかスンスンしてますけどナナ。 いやでも( °▽ °)だって、ねえ?
「きょんがダメって言うとは限らないし」 とワタシ。 「でもダメって言う可能性もあるわけでしょ? その口振りだと」 「まあ、ないとはいえないよね。もともと来客めんどくさがるし」 「じゃあダメじゃん。 あー、ムダに夢を見たー( ´_ゝ`)」 「(笑)んな、せっかちに腐るなよー。 先にあなたとワタシでの相談まとめておかないと、きょんに話もできないんだしさ」 「そっか」 「うん」 「でもじゃあいいよ、無理しなくて(笑) 空想だけでも楽しかったし」 「きょんがオッケーで、ワタシの部屋が整えば、ホントに来る気あるの?」 「あるよ」 「なら、とりあえず掃除は始めるよ」 「どっちにしても掃除は良いことだしね(笑)」 「そうそう(笑) 良いきっかけだ(・∀・) もしあなたが『やっぱやーめた』とか言っても恨まないから」 と恨みがましく言ってみる。 「うん。とりあえずまずは自分のために掃除してみてください(・∀・)」
なんかちゃっかりしてないかねキミ。
「進捗状況を報告してくれると楽しいなー。掃除ここまで終わったよ、とかさ。もう来られるよ、とか」とナナ。 「それはワタシも掃除の張り合いが出そうだな。いいよわかった」
まあそんなわけで、マシマロにも書きましたとおり、一念発起して自分の汚部屋の掃除を始めたワタシだったんでございますのよ奥様。 いったい何度「今年こそ自室の大掃除をしよう」という年末を通り過ごしていっただろう、ワタシ・・・(遠い目) それが! 昨日の今日で! もう掃除! 掃除すれば、遠距離恋愛みたいなスパンでなく、ナナに会える!(かも!) 掃除すれば、ちっさいベッドで一緒に寝られる!(かも!) このふたつが、『掃除大嫌い選手権』があれば予選突破は余裕であろうと思われるこのアテクシを動かしたのでありました。 桃色パワーってホントすごいですよねえ。
そして、言いつけどおり「ゴミ袋8つ作ったのに、部屋が余計に散らかる不思議なんだ」と、荒れきった部屋の画像つきで報告メールを送ったんですが、 あたりまえのようにスルーされました ァ'`,、('∀`)
とはいえですね、 ワタシ、実際にナナがワタシの部屋に来て勉強とか、ちょっと現実的でないし、難しいのかなーってのはちゃんとわかっているんですよ。 ナナも、このときはノリと「ひとりになりたい病」が高じて前向きでしたが、冷静になれば「めんどくせ」ってなりそうですし。
しかしワタシにしてみれば、すんっっっっごい楽しい動機で大掃除ができて、こんなチャンス二度とないよな!ってもううれしくて、鼻歌歌いながら大々的に掃除中であります。 こんなにワクワクとした気持ちでこんなにきったねー部屋を掃除するのは初めてでございますよ! ワタシってなんかシアワセモノ! ありがとうナナ! キミ来なくても気にしないから! とりあえず掃除掃除。ふんふんんふふ〜〜ん♪
と、しゃかりきに楽しく掃除したのが、2月の8日。 翌日9日は末子ちゃんの授業参観。 その晩に、授業参観のことを話しがてら、きょんに「こたつ部屋計画」の話をおそるおそるしてみましたら
「はあ?(゚д゚)なんだその話ぁー?」 と反応され。 しかし結局は「まあ、じょりぃの部屋なんだし、じょりぃの好きにすれば?」となりました。 寛容。 ただし、 ●できれば来るのはあたしが寝てからにしてほしい。 ●そして、あたしが起きる前に帰ってほしい。 という条件つきでした。 気持ちはわかります。
で、その夜に、ナナに報告メールをしました。
こたつ部屋、きょんのOKもらえたよ( ^ ω ^ )
わーい、ありがとう。 送迎付くんだっけ? それは確約してなかったぞ。
そしたら明日の夜でも行きたいなぁ。 勉強していいんだよね?
えらく急だなヲイ( ´;゜;ё;゜;)
掃除がまだ終わってないよ・・・(°▽°;) こたつとヒーターもまだだし・・・(´д`)
わかった。 じゃあいかないよ( -.-)
な、なんかかわいそう・・・。(てか、たいした態度・・・) さらに、勉強したかったのになんか申し訳ない、とか、思わなくてもいいようなことを思いまして。 なので、今日が無理でも、引き続きがんばるよー、という意味で
急ぐからさ!
と送ってみました。らば
この日の翌々日が学校も仕事も休みで、テスト勉強にはもってこいだったので、ちょうどよかったー、と一瞬のうちにぬか喜びしちゃった、みたいな返信が来まして。 そして
来年のテスト期間に間に合えばいいよ(´∀`)
と締めてありました。
来年か・・・掃除が終わってないからホッとした反面、とてもガッカリもしましたワタシ。 来年まで来ないつもりかしら・・・とか。 ということで未練たらしく
がんばってみるよ(・∀・) もし来られる状態になったらきてみて。 でも明日半日じゃ難しいかなぁ(´д`)でもやってみる。
と送ってみました。
そうしましたら、予想外の返信が返ってきましたですよ。
てかさ、じょりぃの部屋じゃなくてもいいんだけど。 こたつあって、ちょっと休憩できればいいんだから。 リビングにこたつなくなっちゃったのー?
リビングかよ!( ´;゜;ё;゜;)
中学時代のナナっぽいマイペース具合が甦っているらしい満月の夜。(実際は月の具合は知りませんが) これはもう、ワタシひとりの判断を超えた。 ということで、きょん様に相談することに決定。
「はあああああ?! ナナ、毎日が大変すぎて、自分の都合以外考えられなくなったわけ?」 <きょんの第一声
「あはは・・・で、どうかなぁ?(´∀`;)」 「あたしがダメって言ったら断るわけ?」 「そうなるね」 「なんか変なのー(怒)・・・・・夜の11時から朝の5時までならいいよしかたねえ」 「やさしいなぁあなた(*´∀`*)」 「ホントはムカついてるけどね」 <低い声で 「すんません」 「まあ、ナナは実家がないからかわいそうだよね。避難場所がないんだもんねえ」
やさしいな(´;ω;) そして、きょんのやさしさに、桃色な心でつけこむワタシ。
なーんて、ちょいと反省していたら、
「でもなんであなた、ナナにはそんなに甘いわけぇー?」
きょんから恐ろしい問いが。 ここはやはり「実家がなくてかわいそうだから」と言うべきなのかしら。とか思いつつ
「中学時代の刷り込みだろうか(・_・)」
とか、適当なことを答えながら、ワタシの脳内ではこのとき、いつぞやのナナのこの言葉が浮かびました。
「あたし、 今までよくバレないな って思ってるんだけど」
ナナときょんに、違う意味でのドキドキを抱えつつ、この翌日は今度はワタシ、一日かけてリビングの徹底清掃を行うことになりました。 気管支ぜんそくが悪くなるとかわいそうなので、ホント徹底的にやりました。 見た目よりもホコリ除去重視。 疲れた( ´_ゝ`)
このたびのナナのわがままがワタシへのサービスなのか、ナナの本質なのかの見定めが難しいところですが、 とにかくナナのわがままっぷりのおかげで、我が家がどんどんキレイになっていっていきます。 ありがたいことでございます。 「今度はきょんさんの部屋で勉強したい」とか言ってくれれば、この次はきょんの部屋がきれいになります( ^ ∀ ^ ) きれいになる前に、さすがにきょんがワタシを家から叩き出す気もいたしますが。
|