ナナとワタシ
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昨日の夕方。 ナナからメールが来ました。
「明日の午前中あいてる?映画見に行かない?」
わお。 突然のお誘いです。嬉しい。 しかも、とっても都合がいいです。なっちゃんも仕事休みですし。
「午前中あいてるよ。やった。」
無表情な喜びメールを送ったら、またメールが。
「『21g』見たいんだけど。時間の合うシネコン調べておいて」
いばってます。 既に見たい映画を決定している上に、「調べておけ」と命令つきです。
時間を調べるついでに、どんな映画だかも調べてみましたら、なかなかしっかり作ってありそうな映画。重そうですけど。 役者陣もショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツと、手堅く豪華。
「世界の中心で愛を叫ぶ」とか「トロイ」とか言われなくてよかった。 特に前者は、ワタシにとっては死です。
そして今日。 ワタシは時間に間に合うように迎えに行ったというのに、ナナはまだ洗濯物なんて干してやがりまして、時間オーバー。 まあ、いつものことなので、気にしませんが。
で、映画を見ました。
重たかったです。
いろんなことを考えました。 とりあえず、安全運転をして、人を轢き殺さないようにしようと思いました。
と、帰りの車の中で上記の感想を伝えましたら 「まったくそのとおりだね(笑)」とナナ。 「役者陣は満足だった。ナオミ・ワッツの泣きの演技がマルホランド・ドライブのときと変わり映えしないなというのが気になったけど」 「叫びすぎだったしね。 あたしはやっぱり、ショーン・ペンが好きだ、ということを確認できたよ(笑)」 「そんなに好きだっけ?」 「うん。 ていうか、今日のメインの目的は、あたしのショーン・ペンに対する思いを確認するためだったのだよ(笑)」 「へえ。(意外) ベニチオも好きなんでしょ?」 「うん。 あたし、サル顔が好きなのかも」 「ショーン・ペンは猿かなぁ?」 「アタシの中では猿。モンキーじゃないけど、猿。ベニチオもなんか、ゴリラっぽいし(笑)」 「ブラピの顔も好きだったよね? あれも猿だ」 「うん」
ワタシは猿顔ではありません。 雰囲気はかなり猿なんですが。 残念です。
そして、自分があの中で誰々の立場だったら、とか、あの状況に自分がいたら、なんてことをふたりで話しまして。 重いテーマのディスカッション。 きょんもそうなんですが、この、ひとつのテーマを掘り下げてお互いの考えを深く話し合う、というのは、ワタシにとって恋愛相手に望む重要なファクターだったりします。 みなさんそうでしょうけど。 このときに「あたりまえ」な話とか偽善に満ちた話(しかも本人無自覚)とかしか出てこないと、すごーくガッカリいたします。
で、映画の中でのショーン・ペンの奥さんの話になりまして。 ショーン・ペンが心臓を患っていて、心臓移植をするんですが、それまで別居していた奥さんが、ショーンの具合がいよいよ悪くなった頃に戻ってきて、しかも「彼の子供が欲しい」といって病身の彼に人工授精を承諾させるんですわ。 既に心が離れていたふたりなのに、なんでかいなといぶかるショーンだったのですが、まあ仕方ないかということで人工授精に踏み切るんですが、心臓移植が成功してからは、さらに奥さんと気持ちが離れましてね。
で、この奥さんの自分勝手なショーンの束縛ぶりというか、子供だけは絶対ほしいとか、なんか、納得できない部分が大きかったんですよワタシ。 ショーンのことを愛しているのかと言えばなんだか「?」だし。 すごくビミョーな心理描写の錯綜する映画だったので、ワタシがここでネタバレにならないようにうまく説明することが難しいんですけど。
「奥さんがイヤだった」とワタシ。 「どんなところが?」
上記にさらに細かく説明をつけた話をしまして。
「自分のことばっか考えてる気がしてさ」 「うん」 「ワタシがショーンなら、とっとと切るね。あんな女房」 「あははははははははは」 「?」 「笑える」とナナ。 何がおかしいんでしょうこの人。 「お前なんてとっとと出てけ!と思っちゃうな。やさしくなんてできないよ」再度アピールするワタシ。 「あはははははははははははは」 「なに?」 「できっこないじゃん(嘲笑)」 「なにが? やさしくできないってこと?」 「違うよ。 とっとと出てけ!なんて、できっこないってこと」 「できるよ」 「できなかったじゃん、実際。ああ、笑える」
げ。
あなた、このあいだの、ワタシときょんのケンカのこと言ってますね? ていうか、それって、きょんをワタシの奥さん的立場と認定してますか?
「なんの話さ」 「相手がどんなに自分勝手だろうと、じょりぃのことなんて考えてなかろうと、求められれば突き放せないでしょってこと」 「そんなことないよ。 ワタシだって自分勝手さには自信があるし」 「だってできてないじゃん。誰に対しても。あははははははは」
何がそんなにおかしい。
話を変えようっと。
「でもさ、あの奥さんは、なんでわざわざショーンの具合が悪いときに戻ってきたんだ? それに、どうして気持ちが離れているのに子供が欲しいとしつこかったんだ?」 「映画の中で言ってたじゃん。『さびしかった』んだよ」 「勝手だ」 「確かにそうだけど、有効でしょ?じょりぃにだって」 「ワタシはさびしいと言われたくらいじゃ」 「突き放せるんだ?」 「自分がかわいいもの」 「じゃ、すれば?」 「(怪訝そうにナナを見るじょりぃ)」 「できっこないって。 できてないじゃん」 「・・・・・・・・(おもしろくない)」 「それにさ、あなた、なんだかんだ言って、好きそうだよ」 「何が?」 「がんじがらめにされるの」 「イヤだね」 「がんじがらめにされたいんでしょ? ホントは?(嘲笑)」 「ゴメンだね」
なんなの一体。
そこまで言うなら、ぜひ、アナタがワタシをがんじがらめにしてみてください。
なーんて。 例えナナでもゴメンですけど。 がんじがらめなんて。
「ホントはされたいクセに(嘲笑)」という、ナナの声が聞こえてくるのは空耳でございます。
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