Memorandum
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2003年10月30日(木) 「マニフェスト選挙」の虚構。民主党は絶対、約束を守れない。

民主党の戦術が効を奏して、今回は「マニフェスト選挙」と言うことになった。
従来の、総花的に項目を並べただけの選挙公約と違って、
政権を取った際の達成目標を具体的に数字で示して、
国民に明確に「約束」するものがマニフェスト、
とのことである。
しかし掛け声ばかりで、実態が空疎なことは与野党とも暗黙に了解済みであって、
言わばこれはヤラセのようなものだ。
例えば小泉首相は「全部読む人はほとんどいないだろう」
と言っているし、
民主党の小沢一郎も「あんもの誰も読まない」と言い放って、
ポイントを絞ることを菅代表に提言したという。
確かに長ったらしいマニフェスト集なんて、読む気しない。
だからメディアを使ったイメージ選挙をやっていた方がいいという話になるが、
しかし問題はそういうことではない。

実は、マニフェストが無意味であることは、
他ならぬ提唱者である菅代表自身がよく承知している。
何故ならマニフェスト=政権政策というのは、
当り前だが政権を取らなくては何の意味もない。
民主党が政権を取れないということではなく、
衆参で単独過半数を取らなくてはならないということなのである。

政権交替を目指す民主党も今回、
単独で政権を取れるとまでは思い上がっておらず、
何とか与党を過半数割れに追い込んで
政権の枠組を流動化させるのが狙いだろう。
その結果、どこと組むのか知らないが、いずれにしろ連立が必要である。
また、仮に民主党が今回の衆議院で過半数をとっても、
参議院では全く数が足りない。
来年の参議院選挙でも勝ったとしても、参議院は半数改選だから、
過半数をとるには更に3年後までかかるのである。
従ってどっちにしろ、どこかの党と連立を組まなければ政権運営はできない。
これは現在、連立政権を組んでる自民党も同じ事情である。
すると、いくらマニフェストで「約束」したって、絵に描いた餅、
ということになる。
連立政権では他党との政策合意、政権協定で妥協せねばならないからだ。
つまり、民主党が絶対、「約束」を守れないことは最初からはっきりして
いるのである。
だったら、マニフェストも結局は従来のいい加減な選挙公約と
五十歩百歩というものである。

菅だってバカではないから、無論そんなことは百も承知、
むしろその上であえてマニフェスト、マニフェストと騒ぐこと自体に目的がある。
つまり、本気で政権を取るつもりがないから、
自分の方では何を「約束」しても言いっ放しで守るつもりはさらさらないが、
ただ、実際に政権をとる自民党には「約束違反」として攻撃する
格好の材料になるのである。
従って、菅が今回、マニフェスト選挙を主唱したのは、
民主党が政権をとって「与党」になるためのものではなく、
選挙後も「野党」として活躍することを前提で成り立っているのである。
これは見事な戦略といえば戦略なのだが、ただいかんせん、
所詮野党戦略でしかないのでは、どうしようもない。

というわけで、

「政権とって約束守らねばバッジ外す」民主・小沢氏演説

どうせ政権をとれないのだから、何でも言い放題であるし、
仮に政権をとっても連立なので、
「あれは単独政権の時のマニフェストだから、連立政権になったら違うのは当り前」
と開き直って逃げればよいのである。


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