わたくしの母は重度の機械音痴でして、「スイッチを入れる」以外の動作はできませんので、店のレジスターはただの金庫と化し、ビデオの操作などもできず、電子レンジも「あたため」しか知らず、それでも本人は不自由なく生きてきたわけですが、どう考えてもゲームの操作など無理かなと思いながら、ＤＳ Liteを貸してみたところ、すっかり『大人の脳トレーニング』にはまり、気づけばいつのまにかゲーム機を使いこなし、ソフトで自在に遊ぶばかりか、最初に作った自分の個人データを削除していたりしまして、よく削除の仕方がわかったなと驚くと同時に、何故個人データを消したのかと疑問に思い、訊いてみたところ「あれは、本当の私ではない」などと、会社勤め七年目のＯＬの「自分探し」のような台詞を言った時には、これを色々な意味で「脳トレ」の効果と呼んでいいのかどうか、しばし考え込んだものです。
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