VIII 2004年11月28日(日)

店頭で流していた『ドラゴンクエスト8』のデモを見た瞬間、これは違うと思った。「ドラクエ」と言えば、どれだけデータ容量が増えようが、CG技術が向上しようが、昔ながらのドットが数えられるような素朴な画像でなければいけないのだ。キャラは皆二等身で、正面向き、後ろ向き、右向き、左向きの4パターンのみで動かされ、移動は平面的な2Dの俯瞰と決まっている。バトルシーンでの戦闘効果などは、絵が動くのではなく、画面全体が震えたり、背景が点滅するという程度で充分だった。今風なリアルで滑らかなCGなど、「ドラクエ」の世界には必要のないものなのだ。それが、7では昨今の流行を取り入れようとしてか、かなり無理をしているようなムービーが差し込まれ、ゲームの世界から完全に浮き上がって、痛々しささえ感じられたほどだった。そもそも鳥山明のイラストは、立体的な表現やCGアニメのような質感に向いていないのだ。それゆえに、『ドラクエ8』のテレビで流れるスポットやデモ画面で、例の胸ときめくようなオープニングの曲を耳にして、思わず目を向けたとき、3Dのフィールドをぐりぐり動き回る八頭身のキャラや、スムーズに動くモンスターなどを見たときには、少なからずショックを受けた。これは「ドラクエ」ではない。あの、デジタルでありながら、どこかアナログのような手作りの空気感がある「ドラクエ」はどこへ行ってしまったのか。『ドラクエ8』の登場で、何か大切なものをまた一つ失ったような哀しみに包まれたのだった。てゆーか、とりあえず『ドラクエ8』、やりてー。

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