日常些細事
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2004年06月04日(金) 思わず拍手

 引越し先を捜して『なんなら不動産(仮名)』に行く。
 条件は倉敷市の中心部で2DK以上、家賃は駐車場込み5万円程度、である。
 1件紹介してもらい、部屋を見に行くことにした。
 社用車で案内してくれたのは営業部の深田恭子さん(仮名・20歳)。入社してまだ2ヶ月の新人さんである。愛嬌のある可愛らしいお嬢さんであった。
 ところがこの深田さん、運転を始めてわかったのだが物凄い方向音痴なのだ。
 店から3キロと離れていないはずの物件なのになかなかたどり着けない。
「あ。すいませーん。道まちがえちゃいました」
 最初は明るく笑って取り繕っていたものの、それが4度5度と重なるにつれて次第に無口になり、最後は無言のまま泣きそうな表情でハンドルを握っていた。
「あのー。無理に行かなくてもいいですから」
 気の毒になってそう言うと、
「いえ。だいじょうぶです。だいじょうぶです」
 必死の形相で運転しながら深田さんが答える。
 店を出ておよそ30分の後。
「着きましたあ!」
 深田さんの実に嬉しそうな声。
 ついに車は目的のコーポに到着した。
 私は思わず拍手をしてしまった。


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