日常些細事
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2003年12月31日(水) 気がつかないで

 アクシデントがあり、今月は妙に忙しかった。
 おかげで年賀状も今日急いで作らねばならない。
 しかし手書きというわけではなく、パソコンで印刷するのだから簡単である。
 パソコン内の『筆グルメ』というソフトを起動させる。
 これは4年前のソフトなのだが、なにも来年用に新しいものを買う必要はないのだ。
「平成12年元旦」の数字をちょちょっと直せば、あっというまに平成16年用の年賀状が完成である。
 プリンターに葉書をセットして、印刷開始。
 私は心が狭いので交際範囲も狭いのだが、それでも50枚ぐらいは刷らねばならぬ。
 出来上がるまでちょっと時間がかかるなあ、と思い、別の用事をするため部屋を離れた。
 大晦日だというのに何かとせわしないのだ。
 家の周りを掃除し、ご近所さんにぺこぺこし、玄関に注連飾りをつけて戻ってくると、もうプリンターは止まっていて、畳に葉書が散らばっていた。
「お。できたか」
一枚をひろいあげて出来上がりを見る。
 今年は早めに郵便局へ行き、ジェットインク用の年賀状を買ってきていたので仕上がりもなかなか綺麗である。
「よしよし」
 私は満足してひとり頷いた。
 年号もちゃんと「平成16年元旦」に変わっている。
 ところが。
「ん。なんだこりゃ」
 平成16年元旦、の下に赤色の四角い小さなものが印刷されている。なんだかハンコみたいだが・・・
「げげげっ」
 それは紛れもなく印刷された印判で、四角の中にはくっきりと
    『辰』
 の文字があった。
 らいねんは申年だっ。
 4年前のソフトを使ったせいで4年前の干支までそのまま印刷されていたのだった。
 なんたることであろうか。
 用心しているつもりだったのだがやはり気が急いていたのだろうなあ。
 といってもう、作り直す時間も無いし。
「気が付かんでくれ。誰も気が付かんでくれえ」
 祈りながら50枚の年賀状を投函した。


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