日常些細事
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レンズの傷が目立つようになったので眼鏡を買い替えることにした。 さっそく近所にある『メガネのしろみ(仮名)』に行く。ここは3年前に今の眼鏡を買った店で、店員とも顔見知りなのだ。 「すこし老眼になってますね」 視力検査を受けていると、担当の加賀まりこさん(仮名)が機械を操りながらそう言う。 「老眼ですかあ」 思わず声を上げてしまった。 40歳過ぎてるのだから薄々覚悟はしていたけれど、やはりショックである。 もちろん年々体が衰えていくのはやむを得ないことだし、永遠に若い時のままでいられることなどありえない。目だって年をとっちゃうのが当たり前なのだ。 ということぐらい頭の中では理解しているのだが、ちょっと老けるのが早すぎやしないか。 私は往生際悪く反論してみた。 「でも42歳で老眼になるんですかねえ。知り合いはみんな50歳ぐらいで目に来たそうですよ」 「個人差がありますから」 「加賀さんはどうです?」 彼女は私より年上なのだ。 「まだ老眼じゃないですね」 と、ふちなしメガネを指で上げながら加賀さんが答えた。 「ちゃんとケアしてますから」 そうかなあ。 さっき書類を手にしたとき、眼鏡を外して読んでたみたいだけど。 いまひとつ納得できないまま、私は視力検査の残りを受けたのだった。
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