日常些細事
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2003年10月09日(木) 展示会で

 金時食品(仮名)の展示会で足裏の整体をする。
 県内有数の卸問屋が開催するとあってなかなかの盛況である。
 お客さんはみな小売店の店主やバイヤーで、職業柄立っていることが多く足が疲れるのだろう、整体コーナーも大繁盛だった。メンタル整体師会からは私を含め5人が参加していたのだが、ひっきりなしに来るお客さんに休む暇もない。
 お客さんの間を縫って金時食品の社員もやって来る。
 営業部長の馬汁健太郎氏(仮名)の施術をしていると、二十代半ばぐらいの女子社員がブースに入って来た。席は一杯である。
 待とうかどうしようか、女の子は迷っているようだった。
 それに気付いた馬汁部長、椅子に座って足を出したまま振り返り、まわり中に聞こえるような大声で、
「満員じゃの。あとでわしが揉んでやるわ」
「どこ揉むつもりですか」
 女子社員が言い返すと、
「乳とかいろいろじゃ。うわはははははっ」
豪快に笑う。
 つられて当の女の子もまわりのお客さんたちも笑いだした。
 物凄いこと言ってるなー。
 手を動かしながら私も半ば感心して聞いていた。相手の受け取りようによっては完璧なセクハラである。
 気まずい雰囲気になってもおかしくないのだが、部長の発言があまりにあっけらかんとしているので怒りようがない。
 小柄で丸顔、眼がくりくりと大きい馬汁部長は頭も少々寂しくなっていて、なかなか愛嬌のある顔立ちをしている。そばにいるだけでなんとなく楽しい気分になる人なのだ。
 私など普通に立っているだけで
「いま怒ってますか」
「気分が悪いんですか」
「お茶でもいれましょうか」
と周囲をピリピリさせてしまうのに羨ましいかぎりである。
 営業の仕事でもそのキャラクターでずいぶん得をしているんじゃなかろうか。
「部長って元気でしょう」
 女の子が私に向かって言う。
「悪いところなんかないでしょう」
「そうですねえ。腰の反射区が固いみたいですが」
 すると部長、
「おお。当たっとる。夜使いすぎたんじゃ。」
そしてうわはははははっと笑った。
 彼女も笑いながら、
「力一杯揉んであげてくださいね。当分口が利けなくなるぐらい」
 上司の体を気づかう部下の要望に答えて、馬汁部長には強めの施術をさせていただきました。


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