日常些細事
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2003年08月03日(日) ありきたりの励ましで

夏季集会2日目。
歌会(注1)の休憩時間にA氏と話す。
彼はALSという病気の患者さんである。1月に会った時にはまだひとりで杖をついて歩いていた。それが今回は、奥さんの介護を受けながら電動車椅子に乗っての参加である。
しゃべる言葉もいくらか不明瞭になっていた。
常々私は
『人生のハンデは表現者の武器』
だと思っているが、いくら無神経な私でも本人を前にして
「いやー難病を患って大変ですね。その病気を題材にいい歌ができますよ」
なんてことはとても言えない。
結局、
「がんばってくださいね」
ありきたりに励ますことしかできなかった。
 そもそも私が整体師を志した理由の一つは、病気や体の痛みで悩んでいる人の助けになりたい、というものだった。
それが今、目の前に病気の人がいるというのに何もできず手をこまねいているだけである。
 なんという能無しであろうか(注2)。

 会場に、A氏は2歳になる娘さんを連れてきていた。大きな目がくるくるとよく動く可愛らしい子で、部屋中を駆け回り参加者の笑いを誘っていた。
疲れ知らずに動きまわるのをとっ捕まえて、その小さな手を観る。
幼いながら生命線など主要三線に勢いがある。
 彼女は長寿の手相をしていた。

(注1)参加者が提出した短歌を互いに批評しあう会。結構キツイこと言われて泣きそうになったりもします。

(注2)後日、師匠の秋山先生にうかがったところ、ALSといった筋肉系の病気にはアキレス腱反射刺激などの施術がよく効くのだそうだ。今度会ったらしてあげたいと思う。


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