色配置キーワード見本と、生きた証〜古代ローマ人と肖像展感想 2004年05月14日(金)
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前回モノクロで筆素描したスケッチ画に、
軽く色をつけてみる。
水彩の特質を活かして…。
以前、いかにも水彩見本〜つー絵を描いて
自己嫌悪に陥ったことがあるが、
うん、これは水彩らしくてかつ自分らしくて
いいんじゃないかな。
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空き時間に、短時間でできる色見本を作ることに。
学生の時に挫折した、色彩論計画のツヅキ。
今度はね、色の配置に名前をつけている本を参考に。
例えば淡い配色で、ロマンチックな、可憐な、
オーカー系中間色で、素朴な、自然な、
マイルドな、いごこちのよい、等々。
固有色の色見本、明暗色相グラデーションの後、
やりたかったのは、混色見本と配置見本。
これは結構面白い!!
いつも通り、本と同じ色が出るまで目でチェックする。
普段使わないような配色を練習して、色幅を広げたい。
時間は結構かかるので、
本当に、空き時間にちょびっとずつ進めるとしよう。
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金曜日は、東京ステーションギャラリーの難波田史男展、
上野の国立西洋美術館でやってる古代彫刻展、
生きた証−古代ローマ人と肖像を見に行った。
西洋美術館は、金曜日は20時まで。
16時頃入場して、しっかり閉館までいました。
まず、アートというか、文化の流れとはだいたい、
素朴なリアリズムからスタートし、
技術の向上とともに、より一層リアルに、
それから現実を離れて理想化、
完成され爛熟、本質が薄くなりマンネリと過剰装飾、
4つの段階を経て終了する。
昔、美術史の授業でキーを教えてもらって
目から鱗。先生の名前は忘れちゃったけれど
すごく感謝している。
一度極めた人やムーブメントが、
衰退していくのはどうしてか、
努力しても永遠に右肩あがりではないのは何故か、
知りたかったんだよね。
ローマ肖像も、故人を忍ぶためなどの目的で
しごく素朴にスタートし、
後年は皇帝のプロパガンダのために大いに理想化され、
テレビの中で壊される、近代の支配者銅像なんかより
実用作品としても、作品としても素晴らしいと思う。
ところが後半ビザンチンがいきなり現れて!!
文化が断絶したかのよう。
ビザンチン時代になると、みんな子供の落描きみたい。
現実を写そうなどというリアリズムのかけらもない。
そしてキャプションを読んで……これは………
10年しか生きなかった子供の墓標。
落描きのようによたりながら、
大理石を困難に彫り抜く線は祈り。
幼い子を失った家族の慰めといたわりの気持ちが
装飾の少ない、絵と文字の刻まれた一枚板から
痛いほど強烈に伝わってきて、
もうこれはアートじゃないな、と。
こうべを垂れて神妙な気持ちになってくる。
なんというか、あの素晴らしい理想的な三次元的な
丸彫り空間を一切捨て、
この素朴な落描きの線に至るという、
潔いというか、すぎるというか、
なんというか、こちらの方もショックだなぁ。
そして画集ではちっともいいとは思わないのだけれど、
美術館に行くたびに、
ビザンチン、ゴシック、ロマネスクの
あの辺の時代の作品は、忘れ難く心に残る。
あのヘタっぴに見える線画。
頭でっかちだったり、比率がめちゃくちゃな人体。
ルネッサンスにたどりつくまでの時代が気になる。
昔ヨーロッパ美術館巡りで同行した人が、
三次元的空間になってから、西洋美術はつまらん、
と言っていたけれど、その意見に頷いた。
当時も頷いたし、改めて今、頷いている。
ビザンチンいいなぁ!!!
うまいヘタで言ったら、ヘタだよなぁ…。
この強烈に惹かれる気持ちはなにかなぁ?
ここらで一丁、暗黒と言われる中世1000年間の歴史でも
読んでみるか、という気になった。
by HPY
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