公園から駅前のミスタードーナッツまでの旅日記 2001年06月19日(火)
----------
展覧会がいよいよ近い。あと2枚なんだけれど。時間はきっちりあと10日。でも不思議なほど日常。特別な気合いは入らない。なんとかなるさ、というつもりはない。やっぱ「ありのまま」と強く思ってるらしい。特別にかっこつけることもしなくなってしまった。
と、言うことで展覧会がいよいよ近く、全く仕上がっていない絵が2枚もあるというのに、朝からいつものようにクロッキーをはじめる。今日も公園に行こう。
公園ではゲートボールをしていた。絶好のカモじゃん。久しぶりに堂々と人物が描けるぞ!と意気込む。久しぶりの人物は難しかったよ。場所もちと遠いし。年寄り達は、予想よりずっとずっと良く動いて困った。(^^;
あまりにも風が強くてそのうち寒くなった。普段家の中ばかりいるので、風あたり。相変わらずの軟弱ぶり。具合が悪くなったので、喫茶店に拠点を移し、暖かい珈琲を飲みながら再開。
連日駅前のミスタードーナッツ。老夫婦が同じ場所同じ時間にたたずまっている。
店員の事を「伊藤さん」とか名前で呼んでいるところを見ると、かなりの常連客だ。店員は2人とも40代後半の主婦のパートさん。じっちゃんが店員に話しかけている。最初会話だけが聞こえてきたが、どうも慣れないホステスと客の会話のように聞こえる。ぎくしゃく。無意識意識的に女性が年上の男性を持ち上げようと気を使ってよいしょするような、男性はそれを当然望んでいるような会話。かなり奇妙に聞こえる。
でも、「もう帰るから」と言うばあちゃんに「もう少しゆっくりしてったらどうですか?」と声をかけるのは本心からだと思う。チェーン店では珍しい、店員と客との会話。
風が強かったのに、喫茶店の中にいれば何も影響を受けない。携帯宣伝の垂れ幕が奇妙なほどばたばたと揺れている。並木道の樹の葉がうねっている。でも窓から見ると、ただの大きなテレビを見ているような不思議な感覚。
人は動くから追いかけるうちに、ペンの動きも早くなる。
植物は動かないから、じっくりゆっくり。
その生き物の生きる速度に合わせて、こちらも見る。
とすると、背景に力を入れるのは自然なことかも。
そう考えると、背景が緻密で人物があっさり描かれている、宮崎駿や水木しげるの絵は奇妙な事ではない。背景はゆっくり動き、人物は速くあっさりと描くというのは、正しい時間の配分かもしれない。
最近、物や人の後ろには何かがある、ということに気づいた。
物を描くと物だけだが、後ろのものも描くと、一気に状況描写となり絵本のようにイメージが広がる。
by HPY
Diary INDEX
|
BACK
|
NEXT
|
制作日誌をメールで読む |
HOME GALLERY