グレートを見る前に、豪ちゃんやダイナミックプロの団氏や脚本の藤川氏のインタビューを読んだのですが、グレートマジンガーって、世間の評価は低かったのですね。 みんながみんな口をそろえて グレートはやりにくくてしょうがなかった。 鉄也は失敗作。 グレートは暗黒大将軍とZと最終回で終わった。後は出がらし、みんなそう思っているでしょ? マジンガーの主役は兜甲児、鉄也、ハァ?誰それ? ま鉄也もゴットマジンガーがあったら、カッコよく死なせてやったんだけどね。 と、散々ないいっぷりで、これをおもしろかったと思っていた私は、やぱり子供のころはモノを見る目がなかったのかなぁとか、また思い出を美化しているだけで、大しておもしろくもないものを、面白いと思い込みで思い込んでいるだけなのかなぁと、ちと凹んで、「思い出は年寄りのオモチャだっていうぜ」 by甲児 と石丸声が聞こえてきたのですが、いやいや、実際見てみればこれ、おもしろいではないですか。 私は、グレート好きですよ。ええ。たとえ、島本和彦が嫌おうとも。 グレートは偉大すぎる前作に押され、評価は低いみたいですが、私の記憶だと、おもしろかったように覚えているし、子供達の間でも評判がよくって、人気番組だったような気がするんですけどね。私の年齢だと、年齢的にZを見ている人はほとんどいないってのありますが、(なんせ赤ちゃん)評判が悪いって記憶はなかったなぁ。こんなに批判票が多いなんて知りませんでした。 これがもう少し年が上の人になると、Z贔屓の人が増えて違ってくるのでしょうが、少なくとも、私のまわりでは、グレートもボスも人気もので、鉄也も嫌われている風はなかったように記憶しています。むしろマジンガーZ野暮ったいなぁ、のっそりしているなぁと、Zの牧歌的なところを時代遅れ的に見ていたような気がする。 たぶんもう少し早く生まれていたら、今の私がカイザーに親しめないように、グレートにも、親しめなかったかと思いますが、グレート直撃世代としては、世間的評価がどうであれ、この番組は今みても格好いいなぁと思います。 このへんは時代のなせる思い入れの差でしょうが。もうちょっと後に生まれていたら、ダイザー贔屓になっていたでしょうから。 世間的評価という点においては、グレンダイザーもZファン、とりわけ甲児ファンからは疎まれていますが、それでも、ダイザーは、世界観ストーリーのつながりがないので、単体評価が可能だからいいよな。おまけにダイザーは、マリアと大介という萌えとやおいのバケモノをかかえていて、その筋からの評価は絶大だし。グレートはZと二つで一つの話なので、切り分けて評価できないところが、辛いところですね。 視聴率的にも商業的にも、戦闘能力的にも、メカニックデザイン的にも負けてないのにもかかわらず、けして、Zを追い越すことができなかったグレート。常にZという大きすぎる先駆者の陰で、日陰者を余技なくされるグレート。 疎まれているとわかると、鬼っ子贔屓で、私としては、よけいにグレート可愛さが募りますね! そんなわけでお楽しみの剣鉄也ですが、Zの最終回で、「マジンガーZとはチョイと出来が違うぜ!」という余分な一言に、お前そんなこと言う前に、マジンガーブレード甲児に貸してやれよ、俺はこんなヤツが好きだったのか、昔の自分の男を見る目のなさに失笑しましたが、始まってみると、やっぱり鉄也いいわ。 剣鉄也がどう見えるか、楽しみにしていたのだけれど、今見ると、鉄也は未熟で不器用で、未完成な人間で可愛いですね。 甲児くんは、大人になった今みるとよく出来た人間で、器が大きく、非常に格好がいいのですが、鉄也は逆に、未熟で人間が小物で可愛い。 鉄也を可愛いと思えるようになったら、大人の女性、というのはダイナミッカーのお姉様方の弁ですが、わたしも大人の女性の仲間入りですか? ついでに、甲児父も可愛エエな。めっさ受け臭くて。敵の目的がジャパニウムや研究所ではなく、剣造さん本人というのがうふふ。兜親子は父も子も甲乙つけがたく、どっちもいい男なぁ。一人うちにほしい。 そして鉄也についてだが、一般的には、 甲児→暴れん坊なやんちゃっ子。抜けているところがあって、親しみやすいお兄さん。 鉄也→冷徹な戦闘のプロ。クールで子供には、少々とっつきにくい孤高のファイター。 とされているようですが、えええ?本当にそうか? グレートがマシンとして完璧すぎて、鉄也が戦士として完璧を目指しすぎて、それが親しみにくい印象をあたえ、番組的に失敗だったといわれているようですが、本当にそうなのか?私には、甲児くんのほうが完璧な人物で、鉄也のほうが欠けた人物に見えるのですが。俺は目が悪いんだろうか? 私には、鉄也のほうが、妬みや甘えや迷いという人間らしい負の感情を抱え、クールぶっていても、どっか一本ずれていて、完璧な戦士には遠い人物に見えるんですけどねぇ。 戦闘のプロや殺戮マシンというのは、キリコ・キュービィや、ヒイロ・ユイのような、こいつら人間じゃねえだろという人としての感情が欠落した破壊的人格者を指すイメージが強くて、鉄也は、巷でいわれるような、戦闘マシンという感じはあまりしません。 また、超一流のアマチュアの甲児を見たあとなので、実戦経験の浅い鉄也では、プロといっても、プロが板についてなくて、それらしい印象もさほど受けません。 それに孤高のファイターというのは、もっと毅然として、人を寄せ付けない人、たとえば、お蝶夫人・亜弓さんラインの人を指すような気がするんですけど、どうでしょう。鉄也の場合はどうも孤高のファイターというのとは、ちと違うような気がするんですが。 鉄也の場合は孤高というより、人付き合いが下手で、不器用で独りでいるだけじゃないでしょうかね。ようするに友達が少ないだけではないかと。だってさ、あの人、甲児くんしか友達いないんじゃネ?甲児と仲たがいしちゃったら、もしかしたら、友達一人もいないんじゃ・・・。 鉄也は、野田氏の声(新衛門さん)のおかげで、クールぶってはみたものの、どっかへたれてなさけなくて、本人は一所懸命なんだけど、うまくいかなくって、不憫で可哀相な子という感じがするのですが、それはいいすぎというものでしょうか。 甲児くんはいろいろ出来すぎなんですよ。 なんても出来るし、なんでも持っている。友達も多いし、誰とでもすぐ仲良しになれるし、才能もあって、運も強く、身体も健康で、精神も健康で、ちょっといろいろ出来すぎ。Zの甲児くんってのは、妬みや嫉妬という醜い負の感情が無くて、いい子すぎるところがあるように思うのですよ。多少口が悪いところがあっても、どうみたってあれは素直な良い子。裕福な家庭で育った優等生。 それに比べると、鉄也は、ぐっと不完全でなさけない人間だよな。 甲児はZ以外にもたくさん持っているんだけど、鉄也にあるのは、グレートだけ。 鉄也にあるのは、プロの戦闘員としての誇りと、グレートのパイロットとして自分だけ。 彼は、孤児としての孤独や、自分の居場所がなくなるという焦燥感や寂寞間を内側に溜め込んいるのだけど、そういった弱い自分を厳しい訓練によって克服しようとしている。その弱さを律しようとする強さが、剣鉄也の魅力だと私は思うのですけどね。 甲児が戦う理由というのは、純粋に、マジンガーZのため、おじいさんのため、光子力のため、平和のためで、それに加えて単純に戦いが好きだからだと思うんですが、鉄也が戦うのは、自分の存在意義を示すためってところがあると思うのですよ。 甲児は素直な子なので、見返りもなにもなしで、平和のために危険に身をやつして迷いなしで戦っているのだけれど、鉄也は自分の存在する理由をかけて戦っているので、自分を認めてもらいたい、自分の居場所を作りたいというところがあるじゃないかと。 だから、戦いが終わってしまうと、自分が存在する理由が無くなってしまうから、どこかいつまでも、戦っていたいと思っているふしがあって、迷いを抱いて戦っているところが あるようにみえるんだよね。 そうした弱い心、惰弱した自分、甘えた己を厳しい訓練によって、律しようとしてする。 それが鉄也の強さなんだよ。そして、律しようとしても、律しきれず、どこかグダグダしているところがある、それこそが、剣鉄也最大の魅力なんだと思いますよ。 なんか褒めてるんだか馬鹿にしているだかわからない評ですが、ようするに鉄也がすきってことでよろしくお願いします。 そして、これが大介さんになると、内に内に溜め込む鉄也と対照的に、外へ外へ放電しまくって、王子光線放ちまくりで、笑わせてくれますね!甲児や鉄也は巷の評と違う印象を受けるのだけど、大介さんは、世間でいわれている通りそのまんまの人でした。 何も溜め込まない素直な甲児くんと、内に溜め込む強い鉄也と、外へ外へ放電しまくりの酔狂な大介さんと、マジンガーのパイロットというのは、三者三様で、ゲッターに負けず劣らず、面白いメンツですね! そして実力は鉄也のほうがはるかに甲児より勝っているのに、鉄也がどんなに努力を積んでも、永遠に甲児を抜けない 兜甲児‖永遠に越えられない壁‖剣鉄也 このへんが激ツボなんだよなね。
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