牧村家の大飯食らいの居候の不動明くんが、改造ライフル抱えた友人・飛鳥了とともに、恐怖の遺産を相続するため、飛鳥邸に向かっているころ、富士山麓の兜邸では、神にもなれば悪魔にもなる恐怖の遺産「マジンガーZ」を相続した兜甲児くが、トンカチ持って鶏小屋を作っていました。 これで、新鮮な卵が食べられるとよろこぶシロー。富士山麓のカントリーライフを満喫する兜兄弟です。 近くに住むさやかさんも、おにぎりの差し入れを持って遊びにやってきます。さやかさんのお手製の差し入れをいただいた甲児くんは、窓辺に座って、ゆったりとギターを奏でるのでした。するとそこへ仲良しのボス達がバイクに乗ってやってきました。 「おーい、兜ォ、機械獣が出たぞぉ」 「ええ、なんだって、わかった。すぐにいく。」 着替えを手早くすますと、自宅の駐車場に止めてあるホバーパイルダーに乗り込み、光子力研究所に向けて発進です。研究所までは目と鼻の先。森を抜ければ、すぐそこは研究所。どう考えても、研究所からスクランブル発進のほうが効率がいいのに、あくまでも自分ちの庭の、それもどうみても、普通のガレージから、友達に敵の襲来を口伝えで教えてもらってから発進する我らがホバーパイルダー。 なんて、悠長でほのぼのした暮らしっぷりなんだ! ほのぼの仲良しすぎるぞ、光子力ファミリー。 ああ、何べん見ても、悠長に自宅の庭から発進するホバーパイルダーが格好よすぎです。 あたしは、このホバーパイルダーが兜邸を出発して、森を抜けて光子力研究所までパロパロ飛んでいくシーンが大好きです。甲児が大好きなマジンガーZ目指して、森を低空飛行で抜けて、格納庫の前で旋回する、ここがいいッ! この一工程多い無駄な発進シークエンスが、いかにも、趣味で私戦をやっているっぽくて、ロケットパンチ3回分ぐらいしびれます。 操作ユニットと本体が別々で、小型飛行機で本体に乗り込むというアイディアも秀悦ですね。オートバイで乗り込むのではなくて、小型飛行機というところが私好みです。ありがとう豪ちゃん、小型飛行機にしてくれて。あたしは嬉しいよ、冷奴先生ッ。 空を飛べないマジンガーZに代わって、(そうマジンガーZは空を飛べないのです!)ドッグファイトをこなすホバーパイルダー。ドッグファイトをする甲児がうーん格好いい。 同じ恐怖の遺産相続人なのに、ほのぼの光子力ファミリーと、キチガイ集団の悪魔人間のこの違いはなんなんでしょう? 恐怖の遺産を相続した不動明くんと飛鳥了くんが、「神とは何か?悪魔とは?悪魔人間とは?」と、怪しげなカッフェーでムツカシー議論をしているころ、恐怖の遺産の相続人・兜甲児くんは富士山麓の田舎町(御殿場?)の夏祭りで、ハッピ姿も凛々しくおみこしをワッショイワッショイかついでいました。 そして、不動明と飛鳥了が、過去の世界を旅して男同士で乳くりあっているころ、甲児くんは、どうすればマジンガーZが空を飛べるか、ロケット工学の書物を紐解いて、光子力研究所の資料室で頭をひねっているのでした。 さらに、飛鳥了くんが明くんへの届かぬ禁断の思いに苦しんでいるころ、甲児くんは「またスカートめくっちゃうぞ」とさやかさんのスカートめくりを楽しんでいました。 なんてマジンガーは健康的なんでしょう。なんて光子力ファミリーはほのぼのとして、まともな人間の集まりでしょう。 ああ、豪先生が、マジンガーとデビルマンを同じ時期に書いてくれて本当によかったです。 豪ちゃんによると、マジンガーZはデビルマンと同じ時期に書かれたそうで、この時期冷奴先生は、デビルマンのほうに精力的に力を注いだので、マジンガーのほうまで手がまわらなくて、マジンガーは結果的に手を抜いた気の抜けた作品になってしまったそうです。 でそのおかげで、あんまり永井食の濃くないさっぱりした出来になって、永井先生的には、手を抜いた作品が代表作としてあげられるのに、納得がいかず後悔が残ったみたいですが、わたしとしては、結果的にそれがよかった。 永井信者じゃない私でも、どうにか読めれるさっぱりしたものになったしね。あたし神とか悪魔とか神話の世界とか全く興味がないし、妖術魔術錬金術が大嫌いなので、あまりその色を濃くされると、読めなくなってしまうのよ。神がどうたらとか、悪魔がどうたら、とかいいだしたら、その次点で、もうそれ、読む気を失ってしまうので。 マジンガーはテーマ的には、神にもなれば悪魔にもなる恐怖の遺産ってことだと思うけど、この点はあまり、深く追求される事なく、漫画アニメともに、祖父の遺産を受け継いだ少年が、オーバーテクノロジーを駆使して、世界制服をたくらむ悪一味を倒すという普通にヒーロー物に収まってくれて幸いでした。 もし、マジンガーZがこの時期にかかれないで、もうちょっと後の時期に書かれていたら、すごーいことになっていそうだよね。 マジンガーと、デビルマンは別物のようでいて、表裏一体なんで、書く時期がずれていたら、何かいても最後はデビルマンになってしまう冷奴先生のこと、マジンガーも、ラストは、とんでもねぇハルマゲドンが待ち構えていたんだろうな。 そしたら、やっぱ最後は、光子力研究所惨殺になったんですかね? 弓教授は拷問の末、血みどろの逆さつり死体、シローは首ちょんぱで首なし死体、さやかさんは、首を刈られて、全裸で胴体串刺し、ボスも首を刈られてさらし首・・・げげげげ、怖い、怖すぎるッ。甲児が光子力研究所に戻ってみると、さやかさんの生首が槍にさされて、研究所入り口にさらされているという惨状・・・いやぁぁぁぁ、そんなのいやぁぁ。 それを見て怒った甲児が神にもなれば悪魔にもなるというマジンガーZと精神感応して、マジンガー暴走。 そして、半身男性半身女性のあしゅら男爵ならぬ、両性具有の美貌の少年が登場。(役回り的には大介さんあたりか? そしてお茶の間のちびっ子が震え上がり、PTAの苦情殺到の中、男同士の痴話喧嘩でハルマゲドンという想像を絶する最後のオチで、視聴者が呆れかえる中、とっと大風呂敷を畳んで終了になっていたことでしょうか。 ああ、そんなことにならなくて、本当によかった。デビルマンに打ち込んでくれて、ありがとう、冷奴先生。 ふたなりの美少年に愛される甲児くんは見てみたい気もするけど、でもやっぱり、マジンガーZは「ロケットパーンチ」「さやかさーん」的なのりがいいなって思うわけガンス。 ジェットスクランダー登場まで、あと少し。がんばれ、兜甲児。
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