下からの続き ---------------------------------------------- 〔引用・エリア88コンプリートブック〜アニメ設定資料集〜/メディアファクトリー 監督インタビュー今掛勇氏 p108-109〕 ――そのシンとの対になる語りで、アニメオリジナルキャラの新庄がいるわけですね。 今掛 新庄というキャラクターをメインに据えた理由は、客観性という部分を描くというためなんです。写真は、何も判らなくても撮れるものと、判ったからこそ撮れるものがあるわけですよ。新庄が客観的な立場にからなら、基地の様子やさまざまな過去を持ったぴロットたちの顔は撮ることができますが、戦場で疑問になってくる「なぜ戦うのか?」、「なぜ生きたいのか?」という部分は相手がわからないと撮れないわけです。ミサイルが1発当たれば死んでしまうような世界で、生きるために人が糧としているものが必ずあって、それを新庄がどのように捉えていけるかというのが、今回のもう一つのテーマであるわけですね。 ――今回テレビシリーズエピソードは、膨大な『エリア88』のほんの一部ですが、全12話の構成もテーマと関係あるんですか? 今掛 シンの悩みや苦しみが入れられるエピソードであるかどうかが、原作からのエピソードを選ぶ理由になっています。シンが人殺しをしている苦しみを言葉で言えない以上、何らかの形で出していけるシリーズ構成を考えましたね。そして、新庄がそれぞれの話のキーとなる部分を写真で撮るというコンセプトにもつながっています。 ---------------------------------------------- シンに関しては昨日書いたので、今日は新庄について。 この本のTVシリーズ各話コメント一番最後のところで、シンは主人公として描けたと思っています、という監督の発言があるんですが、うーん、やっぱり主人公はシンじゃなくて、新庄って感じだったかなぁ?どうも私には主人公は新庄真のように思えました。 昔ロバード・キャパに憧れて戦場カメラマンになった男がいた。しかしそいつも今じゃ金で雇われて、死に顔撮るためにシャッターを切る男になってちまった。そんな男が最果てのエリア88にやってくる。最初は金のためにシャッターを切っていた男だったが、そこに生きるエトランジェの姿、中でもシン・カザマの生き抜こうとする姿を見ているうちに、男はカメラマンとして再生していくのだった。<完> こんな感じ? エリア88の話っていうより、従軍カメラマンの再生記録って感じでした。 最初はカメラマンが出るってことで、きっとカメラマンがガイドリーダー役を努め、ファインダーとフィルムを媒介として、A-88を観客に伝えるんじゃないかと思ったんですけどね。 冒頭が回想場面だったので、毎回一人ずつ誰かにスポットをあてて、12話彼の回想って形あたりにするんじゃないかと。あくまでカメラマンはガイドリーダーで、話の導入部分に登場して、あとはひたすら撮る側に回って報告。そんなフォトレポルタージュになるんじゃないかと思っておりました。 けれど、始まってみればカメラマンが撮る側じゃなくて、写る側に回りすぎていたかなあ。ちょっと鬱陶しかった。飛行ブリーフィングに当たり前のように参加していたり、ご高説説いたり、意見求められたり、話の中心に鎮座しすぎ。新庄視点でA-88見せるというよりも、視聴者に新庄を見せるためにA-88を動かしているといった感じのほうが強かった。おかげで部外者が中ひっかきまわしているようにしか写らず、存在そのものが邪魔臭いものになってしまった。 まあ新庄には新庄の過去があり、どうして金で雇われてエリア88に来ることになったのかは、作中語られることはありませんでしたが、何かしらそれなりの事情があったのでしょう。ちょうど傭兵達がここにくるまでの過去を一人一人持っているように。 それの点ふまえると、この男もまたエリハチちっくな男ということになり、興味深い配置のように思えてくるのですが、いかんせん鬱陶しさのほうが先にきてしまいました。うん、あとバルブ撮影には三脚とレリーズ使えよ☆
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