遊んだり、働いたり、学んだりする時間でも無く、 休んだり、眠ったりする時間でも無いのだけれども、 ただ、ひたすらに時が過ぎるのを待っているより他に為す術が 無いような時間が確かにある。
できることなら何かするのに使えればいいのだけれども、 もしそう出来ないとしても休息したり睡眠を取ったりできれば いいのだけれども、それすらままならずに精々可能なのは 前の方をぼうっと眺めていることくらいだったりする。
そんな風にして過ぎ去って行ったたくさんの時間。 山のように積み重なっているに違いないたくさんの時間。
そう、時間が過ぎ去り続けていることさえ忘れさせるほど 何ごとも為すことなく過ぎ去って行ったたくさんの時間。
生きている、そのプロセスの中の隙間。 一つのこととそれより新しい一つの事の間の隙間。 百貨店の入口の2枚の自動ドアの真ん中のスペースのような時間。
田舎じみたアメリカ中西部の空港で乗り換え便を待つ時、 掛かってくるはずもない電話を待ち続けている時、 晴れたら自転車で出掛けようと思いながら曇り空を眺めている時、
隙間の時間は私の前に姿を現わすのだ。
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