13日の金曜日。 それはとても恐ろしい金曜日。 身の毛もよだつ金曜日。
それは帰宅途中のことであった。 電車に乗ると、二組のおばさんが座っていた。 片方のおばさんが、ワタシにこう言って電車を降りた。
「この人、C駅までだから乗換教えてあげて下さい!」
は?なんでワタシに?と思ったのだが、 頼まれてしまったし、もう既にドアも閉まっていてどうすることもできなかったので、 残されたおばさんの面倒を見ることにした。 C駅ならワタシの降りる駅の隣りだしね。
残されたおばさんは、酔っていた。 忘年会の帰りなのだろう。 饒舌にワタシに話し掛けてきた。 ワタシは適当にあしらいながら、C駅へ行く為に、乗換の駅で下車した。
おばさんの腕を引っ張りながら階段を上り1番ホームに向った。 おばさんは酒臭い息でこんなことを言い始めた。
「今日は13日の金曜日ですよね?何かイヤなことなかったですか?」
思い起こせば、 会社のシステムが繋がらず、仕事ができなかったり。 登校中の小学生がふざけて自動ドアに体当たりをし、ドアを壊し、 おかげで開けっ放し状態で超寒かったり。 明日も出勤になってしまったり。 気が付くとヒールのかかとがなくなってたり。 靴の修理に持って行ったら、 「今履いてる靴はダメ、また明日持って来て。」と断られたり。 確かに今日は13日の金曜日だなぁーと思った。
1番ホームに着くとワタシは次の電車に乗ることを指示し、 そこでおばさんと別れようとした。 すると、
「世の中にはこんなに親切な方がいらっしゃるんですね。ありがとう。」
とおばさんはうるうるしながらワタシに言い、 そして、
「お礼にキスさせて下さい!」
と言った。 ワタシは自分の耳を疑った。 ワタシは焦りながらも、
「お気持ちだけで結構です。ワタシはここで降りますので。」
と言い、逃げようとした。 すると、
「ではせめて握手させて下さい。」
とすがるように言うので、おばさんに手を差し出した。 おばさんは両手でワタシの手を掴み、 そして、ワタシを自分の方へ引き寄せ、 ワタシを抱きしめ、キスをした。
頬に。
オエェエエエエエエエエエエーーーーーーっ。 危ないところだった。 ワタシが顔を背けなければ、今頃間違いなく唇を奪われていた。 ってか、せっかく親切にしてやったのに、この仕打ちはいったい何!? もう少しで、汚れた女になるところだった。 ワタシはおばさんを突き飛ばし、走って逃げた。
13日の金曜日。 それはとても恐ろしい金曜日。 悪寒が止まらない金曜日。 おばさんのベトっとした唇と、すがるような眼差しが忘れられない金曜日。
オエェエエエエエエエエエエーーーーーーっ。
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今日もまた最後まで読んで下さってアリガトウ。感謝感激でゴザイマス。ぶりっ。
排泄日記をmy登録されているエンピツ作家の皆様アリガトウございます。
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