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2002年12月13日(金)
 13日の金曜日。


13日の金曜日。
それはとても恐ろしい金曜日。
身の毛もよだつ金曜日。






それは帰宅途中のことであった。
電車に乗ると、二組のおばさんが座っていた。
片方のおばさんが、ワタシにこう言って電車を降りた。


「この人、C駅までだから乗換教えてあげて下さい!」


は?なんでワタシに?と思ったのだが、
頼まれてしまったし、もう既にドアも閉まっていてどうすることもできなかったので、
残されたおばさんの面倒を見ることにした。
C駅ならワタシの降りる駅の隣りだしね。


残されたおばさんは、酔っていた。
忘年会の帰りなのだろう。
饒舌にワタシに話し掛けてきた。
ワタシは適当にあしらいながら、C駅へ行く為に、乗換の駅で下車した。


おばさんの腕を引っ張りながら階段を上り1番ホームに向った。
おばさんは酒臭い息でこんなことを言い始めた。


「今日は13日の金曜日ですよね?何かイヤなことなかったですか?」


思い起こせば、
会社のシステムが繋がらず、仕事ができなかったり。
登校中の小学生がふざけて自動ドアに体当たりをし、ドアを壊し、
おかげで開けっ放し状態で超寒かったり。
明日も出勤になってしまったり。
気が付くとヒールのかかとがなくなってたり。
靴の修理に持って行ったら、
「今履いてる靴はダメ、また明日持って来て。」と断られたり。
確かに今日は13日の金曜日だなぁーと思った。


1番ホームに着くとワタシは次の電車に乗ることを指示し、
そこでおばさんと別れようとした。
すると、


「世の中にはこんなに親切な方がいらっしゃるんですね。ありがとう。」


とおばさんはうるうるしながらワタシに言い、
そして、


「お礼にキスさせて下さい!」


と言った。
ワタシは自分の耳を疑った。
ワタシは焦りながらも、


「お気持ちだけで結構です。ワタシはここで降りますので。」


と言い、逃げようとした。
すると、



「ではせめて握手させて下さい。」



とすがるように言うので、おばさんに手を差し出した。
おばさんは両手でワタシの手を掴み、
そして、ワタシを自分の方へ引き寄せ、
ワタシを抱きしめ、キスをした。








頬に。







オエェエエエエエエエエエエーーーーーーっ。
危ないところだった。
ワタシが顔を背けなければ、今頃間違いなく唇を奪われていた。
ってか、せっかく親切にしてやったのに、この仕打ちはいったい何!?
もう少しで、汚れた女になるところだった。
ワタシはおばさんを突き飛ばし、走って逃げた。







13日の金曜日。
それはとても恐ろしい金曜日。
悪寒が止まらない金曜日。
おばさんのベトっとした唇と、すがるような眼差しが忘れられない金曜日。







オエェエエエエエエエエエエーーーーーーっ。












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