5行日記
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2004年09月30日(木) 京極夏彦「嗤う伊右衛門」

いわゆる四谷怪談のお岩さんと伊右衛門のパラレルワールドストーリー。

四谷怪談自体は、歌舞伎として上演された「東海道四谷怪談」であり、フィクションなのだそう。(ちなみに四谷は東海道ではなく、甲州街道ってことで、はなから実在の四谷とは別物らしい。)

まー当たり前と言えば当たり前なんだけど、四谷にお岩さんゆかりのお稲荷さんも残ってるし、四谷怪談がらみのドラマや映画を撮る前はお払い行くのが慣わしのようだったので、実話かと思っていた。まー宣伝みたいなものだったのか。

で、四谷にお岩さんと伊右衛門がいたのは、本当のようで、「嗤う伊右衛門」にも書かれているけど、人も羨む仲のいい夫婦で、ただ貧乏だったので、商家に奉公にでて夫婦で働き、信心深かったため毎日敷地内のお稲荷さんにお参り、そうするうちに貧乏も克服し、幸せになりましたとさという話があるらしい。(於岩稲荷田宮神社がそれらしい)

詳しくはここで
http://www.yotsuya-benri.net/others/jinja/001.html

あと、「四谷雑談集」という四谷怪談の元になったという話もあり(実話かフィクションかは不明。でも、やっぱり伊右衛門とお岩が出てくる)、京極さんはその二つを上手くあわせて、新しい話を作った。どちらかというと「四谷雑談」の設定をそのまま使っているかも。(+怪談にでてくる人の名前があったり)ただ、登場人物の性格は違う。

伊右衛門は、真面目で誠実、義理と人情もある実直な男。岩は、顔は醜く崩れているものの、崩れる前から武家の娘として、凛々しく、美しく、真っ直ぐで、激情を隠し持った女。

そんな二人の純愛というか、すれ違う両思いというか、片思いというか悲恋のお話。

待ち受けるのは、悲劇ってのは予想つくんだけど、続きが気になってあっという間に読んでしまった。







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