武ニュースDiary


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2003年09月26日(金) 金城武びいき(i−Weekly)・1

9月20日にご紹介した、シンガポールの雑誌「i周刊(Weekly)」の
武へのインタビュー本文です。
ちょっと長い。かなり難しい。で、終わるかどうか分かりませんが……。

金城武びいき

医学的に言うと、人間の心(臓)は少し左に偏っている。
だから、特別容貌のいい人があり、特別に好かれる人がおり、
特別魅力ある人がいるし、特別に何をやってもうまく行く人がいて、
特別に成功する人がいる。
たとえ、その人物がめんどうくさがりで、マスコミのゲームに加わらず、
わざわざ意を迎えようともしなくとも、彼を嫌いだとはっきり言う人の数はあまり多くない。
彼が姿を見せようとしないと、私達は、控えめなのだと言う。
外見を飾らないと、自然なのだと言う。
宣伝をしなければ、鷹揚な人だと言う。言葉数が少なければ、誠実だと言う。
人は、もともとえこひいきするものなのだ。
だが、ひいきは対象を選ぶものだ。例えば……金城武。

物語を始める前に……
1993年10月19日「テレビ放送Weekly」。
当時の記者、呉秋蓮さんがもうすぐ20歳を迎える金城武氏を取材した。
彼女はこう書いた。
「取材の体験は大変不首尾だった。私はボロボロになって息も絶え絶えだった。
インタビュー中は頭痛がして、アスピリンを3錠のまなくてはならないほど」

2003年9月10日「i−Weekly」。
私はまもなく30歳になろうとする金城武をインタビューし、こう書こうと決めた。
「インタビューの体験は戦いのようだった。私は身も心も疲れ果てた……
取材前は目一杯緊張し、取材後は抜け殻のようになって、
36時間の養生が必要だった」

それでも私は彼女よりは幸運だった。
少なくとも、映画の共演相手についての質問に、
「どうして共演者のことなんか考えなくちゃならないんですか? 
ぼくはぼくの演技をするだけです」なんて言われなかった。
少なくとも、もし監督するとしたら、どんなものがやりたいかという質問に、
「どうしてぼくが監督をするんですか?」などと言われることもなかった。
30歳の金城武は、20歳の金城武と比べると、
芸能界のゲームの規則をもう理解していた。
ただ、彼にはそれは不要なものであり、従うのをさぼっているだけである。

1+1=3456789 
インタビューは2人でする仕事ではなかったのだ

武との1対1のインタビューは、シンガポールでは本誌だけである。
彼と顔を合わせるのは4回目なので、私は他の記者達のような興奮はなかったが、
限られた短い時間の中で、撮影とインタビューを、
どううまくやろうかということで頭が一杯だった。

私を迎えた映画会社の宣伝部員は重々しい顔つきをしていたが、
私の後ろにいるカメラマンがカメラの機材をたくさん抱えているのを目にすると、
たちまち難色を示し、うろたえて言った。
「いいんでしょうか……出さないで……いけません……まずしまってください……」
――インタビューのとき、撮影していいとおっしゃいませんでしたか?
「そうですけど、でもさっきマネージャーがだめと言ったので、
無視されたと思うんじゃないかと……」
大変忍びないけれど、急いで機材をしまった。

武が現われた。午前中の記者会見と同じ白いシャツと黒ズボンで、
髪は無造作に束ね、古の世をさすらう日本の浪人のようであった

日本式の腰をかがめるあいさつをすると、彼は私の近くにすわった。
私の目の前には、香港とシンガポールの映画会社の責任者、
そしてもう1人、とても権威のある感じで腕を組んでいるいかめしい女性、
予想の通り、これは名マネージャーのヤウ・イージュンさんがずらりと並んだ。

「あの……映画の話に戻してください」 
インタビューの途中、横から絶えず遠まわしの、礼儀正しいさざ波が押し寄せてきた。
――質問は全部、あらかじめマネージャーに目を通してあるのではなかったか?
――たしかに。が……それでも現場での相手の様子をやはり見なければならない。
武はずっとニコニコしている。ヤウ・イージュンは表情を変えなかった。
不機嫌な様子は少しも……あ、全然見えないというわけではない。

1200秒の対談が始まった。


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