(仮)耽奇館主人の日記
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2005年10月18日(火) |
秋の長雨に谷中霊園へ。 |
火曜日の午後は、少し時間が出来たので、一人で日暮里駅まで行き、そこから谷中霊園をうろうろしていた。 傘をさしつつ、濡れた墓石をひとつひとつ眺めて、物思いにふけることもなく、ただ、ボーッと頭を真っ白にしていた。 こういうひと時は、絶対に必要だ。 座禅を組むのと同じ効果があるのだ、 その人個人の思い出が濃く漂う場所にて、無我の境地に浸る・・・ 私にとって思い出が最も濃く漂っているのが、谷中霊園だった。 オヤジにもらったマミヤの一眼レフのカメラで、初めて女の子を雰囲気たっぷりに撮った場所だし、丸尾末広さんの漫画「童貞厠之介」を写真で連続作品化した際に、厠之介役の男装少女を墓石の上に立たせた場所でもある。 それに、花見の席で、霊園中を友達と一緒に、「エクソシスト」のスパイダー・ウォークで練り歩いたバカな思い出もある。 もっと古い思い出だと、三歳か四歳の時、上野寛永寺の近くに住んでた仲良しの幼馴染の女の子と二人きりでかくれんぼをしたことがある。 これは秋のお彼岸の時にやったので、ものすごく混雑してて、かくれんぼというよりは、和製「ウォーリーを探せ」こと、「とこちゃんはどこ」そのものだった。 私が一生懸命、探し回って、ひょっこり、誰もいない開けた古い墓所で相手を見つけた時は、見上げるような巨大な石造りの鳥居しか目に入らなかった。 その時の感覚を取り戻すためにも、その墓所を訪れてみた。 下にスキャンした写真がそれである。 ここは実に癒される。 いや、癒されるという感覚すら、真っ白になる。 雨が降り続く中、私はじっとそこに立ちつくし、白い鳥が自分の心のなかに舞い戻ってくるのを感じると、ぶるっと身体を震わせ、霊園を出た。
・・・現実は、こういう風に、思い出すことで成り立つこともあり得るのだ。 今日はここまで。
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