(仮)耽奇館主人の日記
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AV女優で知られている、林由美香さんが亡くなった。 あまりにも早すぎる、あっけない死にはほんとうに驚いたが、あらためて思うと、彼女もまた「速い」人生を疾走して、彼方へ向かったのだろう。 南無。合掌。 今回は、AVも含めた肉体表現について。 九十年代の初め、あるAV女優さんから頂いた名刺には、「肉体販売者○○○」とあった。なかなかインパクトがあったが、当時、交友していた暗黒舞踏家の名刺にも、「肉体販売者XXX」とあったので、一瞬、二人は同じ組織に属しているのかと思ってしまった。 AVと暗黒舞踏がなにゆえに、「肉体販売者」の売り文句に行き着くのか。 簡単である。 それが「売春」ではありえない、「肉体表現」だからだ。 彼女と彼は業界に生きるプロである。プロである以上、自分自身を販売して、メディアに記録されるだけだ。 そこに、生活感はほとんどない。 メシを食うためとか、借金を返すためとか、家族を養うためとか。 自分自身を表現するのは、もっともっと大乗的なものだ。 それを分かっているプロだからこそ、「肉体販売者」の名刺を作ったのだろう。 ・・・・・・ 最近、剛さんと代々木で、「日本語を喋るキレイな外国人女性」に会ったのだが、出演者として使うならAV女優の方が断然いいという結論に至った。 低予算ゆえに、見込みのある素人か、無名俳優を使うのは、私たちだけの話ではないのだが、せっかくキレイな顔や身体をしているのに、そんな自分自身を裏切っているのは、作品上好ましくないどころではない。 考えると、 「肉体販売者」という言葉に、すぐさま「売春」などのいかがわしいイメージを抱いてしまう一般的な反応を見越して、挑発的に、挑戦的に、自分自身を表現し、貫き通すという「潔さ」があの二人にはあった。 そして、 私たちはそういう「潔い」人を作品に使いたいのだ。 ・・・・・・ 林由美香さんは、まさしくそういう、潔い人だった。 そして、彼女に続くAV女優たちも潔い。 単に憧れるだけで飛び込もうとしないのに比べたら。 キレイと言われるだけで満足しているのに比べたら。 彼女たちの方が速い。 断然速い。
人生に速さを求めるのなら、頭のてっぺんから、足のつま先まで、 そして、心のなかまで、 全部飛ばすための燃料にしなくては。
・・・・・・ 常に、自分自身に緊張していなければ・・・生きている価値がない。 そういうことなのだ。 今日はここまで。
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